追憶。キミがいなくて寂しいよ。ジリスと暮らした四年半。
2020年10月7日FAMILY STORIES
2004年から4年半生活を共にしたボクの家族だ。亡くなる直前まで仕事場の事務所に毎日連れて行った。車の中では小さなバスケットに入れてくつろがせていたが、ドライブスルー等に寄ると立ち上がってクルーのお姉さんに愛嬌を振りまき驚かせる人気者だった。
初日からトイレを覚えて、それ以外の場所では一切しなかった。女の子だがめっぽう気が強い。怒るとボクの指を前歯で思い切り噛み切った。傷跡は今でも残っている。妻は冬場、コタツの中で何度も噛みつかれたらしい。2008年にこの子が亡くなり、いわゆるペットロスになったほどだ。食欲旺盛な子で何でも興味を持って食べてくれたが明らかに肥満気味だった。亡くなって考えた事は、自分では可能な限りの事をしたつもりでも動物にとっては人間と一緒に居るだけでストレスが溜まっていたと思う。ボクの不注意で病気をした時も小さな体で懸命に生きてくれた。公園で拾ったドングリをあげると両手でいつまでも大切に持っていた。小動物と言うくらいだから犬や猫に比べると寿命は短い。色々調べてみると5年から長くても8年が精一杯だと分かった。だから少しでも体調が悪そうだと感じたら直ぐに動物病院に連れて行った。しかしこの子は注射を打たれても泣くこともせずじっと耐えている本当に強い子だった。そして我が家に来てから4年目以降、明らかに体力が落ちていたと思う。少し運動させてもすぐに疲れて歩けなくなっていた。晩年は目の下を指で撫ぜると気持ち良さそうに目を閉じていた。自分の何倍もの大きい体のボクを家族と認めてくれる、最後の一年はそんな信頼関係になっていた。この子はボクに多くの事を教えてくれた。動物が人間に対して不機嫌であっても絶対に怒ってはいけない。ストレスをかけてはいけない。動物が心を開いてくれるまで気長に待つ事。それができない人は動物を飼わない方がいいかもしれない。今は自分が飽きたり何か不都合が生じると平気で動物を捨てる輩もいる。そういう話を聞くとやり切れない気分になる。ボクはあの子に長く生きてもらえなかった事を今でも悔いている。もしひとつだけ許してもらえる事あるのなら、それはこの子を自分の娘と思い最大の愛情を注いだ事だ。そしてこの子もボクを愛してくれた。これだけは絶対誰にも負けないと断言できる。亡くなった時に動物病院の先生から言われた。動物がなぜ死んだのかなど追求しなくて良い。なぜならキミは心から愛していたではないか。それで十分だと。この言葉にボクは救われた気がする。目を閉じると元気に部屋を走り回っていた姿が浮かんでくる。ありがとうコロン。キミと過ごした4年半の思い出をボクは一生忘れないだろう。キミにもう一度会いたいよ。
2020年10月7日FAMILY STORIES