1970年公開、ビートルズ最後の映画。 「Let It Be」が50年の時を経て新バージョンに生まれ変わる。 タイトルは「Get Back」で10月公開か?
2020年10月7日BEATLES
監督は「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン。
解散に向かうビートルズを描いた映画という通説を覆えした作品。
「オリジナルバージョンから陰鬱な雰囲気を取り除き再構築した」
今年公開予定と言われていた新しいビートルズ映画の全貌がいよいよ明らかになる。
今から50年前に公開されたビートルズ最後の映画「レット・イット・ビー」はアルバム「GET BACK」の制作過程=通称ゲットバックセッションと言われるリハーサル風景を撮影したものだった。当時のビートルズは、1966年に行われたキャンドルスティックパークのラストコンサート以降ツアーを停止しており、レコーディング以外の活動目的を失いつつある中、ポール・マッカートニーがメンバーを取りまとめていた。ポールはアルバム「GET BACK」の制作にあたりコンセプトを立てていた。レコーディングはオーヴァーダビングを一切行わず、所謂1発録りのスタジオライヴで作る事。レコーディングに向けてセッションを重ね、そのリハーサル風景を映像に収めて、テレビ放映をするというものだった。このアイディアについては、メンバーのジョージ・ハリスンも「コレはいけると思った」と後に語っている。だが、結果は真逆だった。暗く寒いトゥイッケンナムでのセッションは撮影も同時進行で行われた為、リラックスして音楽を作ると言うには程遠い環境だった。メンバーのジョン・レノンも、色々なライトがパカパカ点滅している中で良い音楽など作れる訳が無い!と語っており、結果的にストレスが溜まる中でのアルバム作りになり、メンバー間の衝突が絶えない状態だったと言う。実際に映画の中でも、ポールとジョージが口論を交わすシーンが見られた事でその事実が伺える。またジョンの横には常にベッタリとオノ・ヨーコが寄り添い、リンゴやジョージは白けてやる気が全く見られない。ポールがグループの主導権を握り一人熱演する構図になってしまっている。この結果、オリジナルバージョンの映画「レット・イット・ビー」は、ダラダラしたリハーサルセッションを繰り返すだけの映画と批判され、グループの実態が絵に出ている作品と酷評されてしまった。解散間際の重苦しく哀愁感漂うビートルズ映画と言うイメージを持つファンは今も多い。このイメージを覆そうという思いで映画「レット・イット・ビー」の新バージョンが制作されたと言うのが経緯で、本年10月の公開が噂されている。
また本作と共にオリジナルバージョンの4Kレストア版のリリースと、アルバム「LET IT BE」50周年記念盤の発売もあるのではないかと言われている。
監督のピータージャクソンは新バージョンのLet It Beについて、「オリジナルバージョンの暗く重苦しい印象を覆す作品になる」と語っている。「スタジオではジョークを飛ばしあい、4人で和気あいあいと音楽を作る姿を見ることができるだろう」コレが本当ならファンにとって大いに喜ばしい。
オリジナルバージョンの「Let it be」は、
ゲットバックセッションを記録したドキュメンタリー映画。
クライマックスはビル屋上で行った伝説のライヴパフォーマンス。
1970年公開。監督はマイケル・リンゼイホッグ。
企画当初はテレビ放映用だったが後に劇場公開に変更された。前半はロンドンのトウイッケンナムフィルムスタジオでのセッション風景。アルバム「LET IT BE」収録曲と「ABBEY ROAD」収録曲が演奏されている。後半はサヴィル・ロウにあるアップルスタジオに場所を移してのセッション風景。因みにサヴィル・ロウとはロンドンの中心部にある高級紳士服の聖地と言われる場所で、日本語の背広はサヴィル・ロウが訛ったものという説がある。アップルスタジオではキーボードプレーヤーのビリー・プレストンをゲストに迎えて、ベサメ・ムーチョやシェイク・ラトル・アンド・ロールなど、様々なスタンダードナンバーも演奏している。映画のクライマックスはアップルビル屋上で行われた47分間のゲリラライヴ、通称ルーフトップコンサートで構成されている。本作品については前述した様に、解散していくビートルズを描いた感が強く、暗く陰湿な作品の印象が拭えない。これについてボクの感想は異なる。そもそもこの映画はドキュメンタリーなのだ。台本もセリフもない。つまりありのままのビートルズを映した作品なのだ。喜び、怒り、憎しみを出すのが人間では無いか。世間の評価は悪い様だが、ボクぐらいのコアなファンになるとこれも有りの作品なのだ。確かに撮影当時のビートルズは険悪な関係だったと言われてはいるが、ルーフトップコンサートのシーンではジョンがポールに向かって微笑み、ポールがジョンに微笑みを返すシーンが多数見られる。ノリノリで昔の様に仲良くハモるジョンとポールの姿はとてもカッコ良く二人の厚い友情が垣間見られる。色々あったけどボクらは今でも演奏するのが大好きなんだよという今は亡きジョンの声が聞こえてきそうなシーンが随所に散りばめられており、今見てもグッとくるものがある作品なのだ。そしてルーフトップコンサートを見る度に感じるのはビートルズが正真正銘のライヴバンドだったという事だ。
☆Don’t let me down
https://www.youtube.com/watch?v=NCtzkaL2t_Y
通称ルーフトップコンサート
大音響で突然始まったビートルズ最後のライヴ。
付近の会社から苦情が殺到して、警官がライヴを止めにかかる。
映画のクライマックスは通称ルーフトップコンサートと呼ばれるゲリラライヴ。
このシーンは1969年1月30日の昼頃、ビートルズの会社であるアップルビル屋上で撮影された。突然始まった大音響のライヴパフォーマンスには大勢の見物人が集まり、道路は渋滞してしまう。付近の会社からはうるさくて仕事ができないと苦情が殺到し、大勢の警察官が集まってくる。その様な中でも平然と演奏を続けるビートルズ。GET BACKからスタートして、アンコールのGET BACKまでの6曲47分間のライヴパフォーマンスを繰り広げた。
I’d like to say “Thank you” on behalf of group and ourselves, and I hope we passed the audition”
(グループを代表して有難うを申し上げます。オーディションに合格できれば良いのですが‥‥‥
当時解散が近いと噂されていたビートルズのジョンのこの発言。皮肉たっぷりではないか。
2020年10月7日BEATLES