さようなら、新月湯。TOKYO LIFE STORY❶
2020年10月6日TOKYO LIFE STORY
「私達夫婦はもう歳ですからね。ここらで閉めるのが相応しいのではと考えたのです」「‥‥。あのオムレツとサラダはもう食べられないのですね」肩を落として話す私に店主はこう言った。「中川さん、長い間ごひいきいただき、ありがとうございました。どんなに辛い事があっても、それを乗り越えてデザイナーになってくださいよ」最後の食事を噛み締める様に味わった後、後ろ髪を引かれる想いで店を出た。閉店から数週間後、店は解体されて更地になっていた。本当だったのか。思わず呟いた。
一方のカフェキャッツは、独身時代の妻とよく出かけたお気に入りの喫茶店だった。センスの良い食器と心安らぐウッドのインテリア。仕事に追われる日常とは異なり、ゆったりと時間が流れていく店だった。そこにいるだけで心が落ち着いた。そして何よりも食事が美味しかった。妻と一緒に行くと、店主の女性が優しく微笑み、軽く頷いて迎えてくれた事も記憶に新しい。この店も、ある日気がつくと閉店していたが、後に別な場所で再開していたことを知り、安堵した記憶がある。
妻が近所のアパートに移り住んで以降は、外食を減らしていった気がする。言うまでも無く、妻が作ってくれたからだ。この頃から、結婚準備中の様な生活を始めていた。給料日になると、仕事帰りの私が駅前の精肉店でステーキ肉を買い求めてアパートに帰った。ステーキを上手に焼くコツを店主に尋ねた。強火で裏と表を30秒ほど一気に焼く事。そのあとは弱火で数分焼きなさいと教わった。教えられた通りに焼いて妻と一緒に食べた記憶は、今も色褪せずに残っている。それがきっかけで、肉を焼くのは今でも自分の役目になっている。
♫ 徹夜続きの毎日だった1983年の思い出深い楽曲
映画「フラッシュダンス」テーマ曲の日本語バージョン。
日本航空の全面協力で制作された「スチュワーデス物語」の主題歌に採用された。
スチュワーデス物語は、主演の堀ちえみが村沢教官(風間杜夫)の元で、
一人前のスチュワーデスに育つ過程を描いたドラマ。訓練所のセットには
実物の客室モックアップが使用され、現役の英語専門教官も出演していた。
大映テレビドラマ特有の泥臭い演出だったがこのオープニングはとても良かった。
本放送終了後、何度も再放送されたので、私は日本語バージョンの印象が強い。
https://www.youtube.com/watch?v=8INYlnsZ9R8
1983年に公開されて大ヒットした映画「フラッシュダンス」の
サウンドトラックアルバム収録曲。
アイリーン・キャラが歌ったテーマ曲も良いが、
私はこの曲も好きだった。
https://www.youtube.com/watch?v=_1HnkNVy2rM
2020年10月6日TOKYO LIFE STORY