消えゆく店と 日々生まれ変わる街。
2021年5月8日
先々週から、決算準備に追われる毎日を過ごしている。所謂確定申告と言うやつだ。法人の決算は個人とは異なり、面倒くさい事夥しい。一日中書類の整理に追われて、イライラが頂点に達してしまう。妻とは連日口喧嘩が続いていた。だが、そんな状況から後わずかで解放される。溜まったイライラを吐き出さないと、いずれ大爆発を起こすのが自分の悪いところ。そこで今日は気持ちを切り替えようと大須にやってきた。私自身、大須に特別な思い入れはないのだが、精神的に疲れた時はここを訪れる事が多い。大須はごちゃごちゃした街なのだが、なぜかリラックスできる摩訶不思議な街である。
大須は開発進行形の街で、訪れる度に変化してきている。私が20代の頃、生活基盤を東京に移して以降は殆ど訪れる事がなかった。だが結婚を機に名古屋に戻って以降、パソコン関連商品を求めて、度々訪れるようになった。1990年頃のことだ。当時は、秋葉原電気街のミニ版のようなイメージで、あちらこちらにパソコンショップが開店していた。自分が会社を設立した1993年頃がピークだった感がある。あの頃は、ほぼ週一で来ていた。休日にもなると、テレビゲームソフトを扱う店の前は人だかりができていた。ところが2000年以降になると、街は徐々に変化を始めた。数多く存在していたパソコンショップは軒並み閉店。今や絶滅状態と言って良い。未だにテナントが見つからないままの空き店舗も多い。一方で、飲食店は小綺麗でオシャレな雰囲気の店が増えた。ピザやトラットリアを提供するイタリア料理店に加えて、テイクアウトオンリーの店が多いのも大須の特徴。資力や体力のあるショップは、改築や改装を行って凌いでいるようだが、意外にもあっさり閉店した店も多い。
あんかけパスタで有名なハッシュデロッソ、安くて美味しい鰻がいただける大松もいつしか閉店していた。エビフライサンドで有名なコンパルのように、今も変わらぬ人気店も健在ではあるが、思うように客足が伸びず苦戦が続いていると聞く。私達も、テイクアウトは利用するものの、外食する気にはなれないのが正直な気持ち。つい最近まで、当たり前にできていた事が困難な事態に困惑する日々。あらゆる価値観が一気に崩壊してしまった。みんな自分の生活が不安なのだろう。他人に目を向ける余裕などあるはずがない。昨年の今頃、マスクなしで街に出かけていた頃が愛おしく感じられた。
大須を訪れる際、必ず寄る店がある。先に松坂屋名古屋店の地下食品街、銀座アスターで焼きそばを買い求めた。アスターの焼きそばは、何度食べても美味しい。麺は硬いものと柔らかいものを選択できる。私がいつも買うのは柔らかい方。その後、大須商店街の激安スーパー、サノヤで250円弁当を買った。1,000円の焼きそばと250円の肉じゃが弁当。この落差が実に面白い。自分流の楽しみ方で街を歩く。すれ違う若者たちのファッションに目を向けながら街を歩く楽しさ。時の過ぎゆくままに、ゆるりとした時間を過ごした。また明日から前を向いて生きよう。