還暦のクリスマスイブ

2022年1月29日

子供時代の年末年始は夢のような二週間だった。家族四人が揃う団欒。母の作る温かい夕食が何よりの楽しみだった。笑いが絶えない家族の姿は今も私の心に残る永遠の宝物。だが成人以降の年末年始はこれといった思い出がない。グラフィックデザイナーになった以降は仕事漬けの日々に加えて連日の残業。クリスマスケーキどころかコンビニ弁当にカップラーメンのお粗末な夕食だった。29歳で結婚。そして独立。業績は浮き沈みを繰り返した。その後は父も亡くなり、切ない現実を思い知らされた感がある。また昨今は、歳を重ねるごとに体の不調を感じるようになってきている。

他人に言わせると、外見こそまだ若さを保っているそうだが、この先どうなるか分からない。だが若さを保つ秘訣はただ一つ。外出する事だと信じている。他人を見る事、そして他人に見られる事。これに尽きる。昨日は街に出かけて、久しぶりの外食を楽しむ事ができた。帰りがけに駐車場に向かう際、小さなクリスマスケーキが目に入った。コンパクトディスクほどの大きさに苺が三粒並んだケーキ。これは可愛い。年甲斐もなく衝動買いしてしまった。うちは私と妻の二人暮らし。以前はホールケーキを購入していたのだが、二人とも量が食べられなくなり、今年はカットケーキで済ませようと話していた。だがこの小さなケーキを見た途端、子供心の思い出が蘇った。さあ、これから何をしようかと考えていたのが子供時代のクリスマスイブだった。現実に目を向ければ還暦を迎えた自分がいる。そして子供時代の思い出は遥か彼方になりつつある。亡くなる親族が増えた今年、無事にクリスマスイブを迎えられる事に感謝したい。大切な友人達、出会えた皆様、心からありがとう。

☆Happy Xmas (War Is Over)/JHON LENNON
https://www.youtube.com/watch?v=flA5ndOyZbI