変わり続けること

それが人生だから。

高校時代の大晦日は、FMのビートルズ特集を聴きながら過ごしていた。
受験勉強などそっちのけの生活だから志望の大学は全て不合格。
卒業直前に大好きな彼女と別れた。その後上京して自分の居場所探しから始めた。
苦労の末にデザイン学校を卒業。気付けばグラフィックデザイナーになっていた。

あれから40年の歳月が流れた。健康だと思っていた自分だが、四年前に脳出血を発症。
内科的治療で順調に回復したものの、突然襲われる後遺症に苦悩した。
食生活を改善すると共に、仕事環境も見直そうと動き回った一年だった。
三年間休止していた車の運転も再開。以前のフィーリングを取り戻した。

幸いにも脳出血の障害は一切ないのだが、発音が今ひとつよろしくない。
声の抜けが悪く、スピーディーに会話できないと感じる事も多い。
そんな自分を見た妻は、茶化したりせず黙って聞いてくれている。
妻の気遣いを知り、やはりまだ発音が悪いのだと落胆する自分がいる。

だがそんな時は、ビートルズの「ヘイ・ジュード」を聴いて気分を変える。
生まれて以来変わらない人など何処にもいないのだと。
変化を恐れて留まるな！前を向いて一日を精一杯生きろ！
命尽きるまで変わり続けろ！と叫ぶもう一人の自分がいる。

まだ自分に役目があるのなら
その花を咲かせるために、今後は生きていこうと誓う。
出来が悪い自分を育ててくれた両親。そして支えてくれた家族と友人達。
恩返しなどできていないが、それぞれにありがとうを伝えたい。

人並みに迎えられる年の瀬と新春。
主治医からは酒は控えてと言われており、アルコールは口にできない。
仕方なく熱いコーヒーをいただきながら一年を振り返ろうと思う。
さよなら2021年、よろしくな2022年。