おじさんが少年に戻る 時間 2022年2月12日
幼少期から乗り物が大好きだった。自動車、船舶、飛行機、鉄道。中でも一番の存在が鉄道であろうか。きっかけを作ったのは父だった。誕生日にプレゼントしてくれた金属製の鉄道模型セット。大きな箱を開けるとコントローラーと線路、ローズレッドの電気機関車と数両の貨車が入っていた。電気機関車の形式はED100。実在しない形式なのだが、それは問題ではなかった。あまりの嬉しさで感激したからだ。大した知識もないまま、夢中になって遊んでいたらしい。当時の金属製鉄道模型は大変高価であり、まさか自分に与えてくれるとは夢にも考えていなかった。
自分が鉄道好きの理由は他にもある。高校時代まで住んでいた旧実家は、東海道本線と名鉄名古屋本線が並走する沿線に所在しており、学校帰りや休日には毎日電車を見ていた。恐らくこの実体験が自分を鉄道好きにした最大の要因だろう。祖母が生きていた頃は名古屋駅まで買い物に連れていってくれた。家の前は市電の停留所。高蔵(たかくら)から熱田神宮前まで乗車。そこで名鉄に乗り換えた。当時の花形車両といえば真紅のパノラマカー。祖母と一緒に展望席に陣取り、速度計を見ながらニコニコ顔だったらしい。夏休みの日曜日は早起きして父と踏み切りまで散歩した。寝台特急「あさかぜ」が通過するのを見るためだ。太陽がジリジリ照りつける中を父と一緒に待っていた。静寂を切り裂くように甲高い警笛が聞こえた直後、轟音と共に通過していく列車を見た時の感動は今も鮮明に覚えている。運転士になりたいとは思わなかったが、車両をコントロールできる鉄道模型にのめり込んだのは必然といえるかもしれない。
昨年の春から参入したメルカリで得た利益を活用して、鉄道模型を再開しようと思った。私がやりたい事は、細かい事に拘るマニアックな鉄道模型ではない。部屋のインテリアとしても成立し得るポータブル鉄道ジオラマの制作だ。自分が最も表現したいのは鉄道のある情景。車両は演者と位置付ける。実を言えば一時期、事業展開を図ろうと企画していた事もあったが、諸般の事情から断念した経緯がある。だが還暦を迎えた今の自分なら、実現できるのではないかと考える。良い部分を残しながらも、旧い部分は刷新して新しい価値観を創造する。まずは試作からスタート。鑑賞に耐え得るクオリティならメルカリ等で販売を試みたい。
先日の三連休を利用してお気に入りの鉄道模型店を訪れた。店を知るきっかけはネットの商品検索。これが見事にヒットしてお目当ての商品を購入出来る店を見つけた。場所は愛知県安城市。オンライン購入可能で実店舗もある。店主は仕事熱心でITにも強い方だ。店名もおしゃれで、鉄道模型店のイメージから大きくかけ離れたネーミング。店内も整理整頓されており、センスの良さが感じられる。一昔前の旧い鉄道模型店のイメージはない。今回は物品購入のためではなく、近鉄10100系新ビスタカーと12200系新スナックカーを併結出来る様に加工作業を依頼すべく訪れた。少年時代は工作意欲があったのだが、欲しい物品を自由に購入できなかった。そこそこの収入がある現在、欲しい物は購入できるようになったが、視力と集中力が衰えて工作意欲が低下した。皮肉なものだ。
中学校時代の日曜日。自転車で近所の模型店に出向き、ショーケースに顔を近づけて車両を見ていた頃の自分を思い出す。品揃えが悪く、いつ訪れても客がいない小さな店だった。私が東京を離れて名古屋に戻った頃、店を訪ねたら廃業していた。「廃業か‥」やるせない想いで自宅に帰った。何事にも終わりが訪れるのは致し方ない。人も店も永遠でない事は理解している。思い出や懐かしさに浸るのではなく、常に進行形で行きたい。現実を受け入れて今やりたい事をやり遂げる。それが人生であり、より豊かにするものが趣味と言えるかもしれない。
☆Magical Mystery Tour/Paul McCartney(LIVE)
https://www.youtube.com/watch?v=Cu7Rh2l_Lf0
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2022年2月12日
幼少期から乗り物が大好きだった。自動車、船舶、飛行機、鉄道。中でも一番の存在が鉄道であろうか。きっかけを作ったのは父だった。誕生日にプレゼントしてくれた金属製の鉄道模型セット。大きな箱を開けるとコントローラーと線路、ローズレッドの電気機関車と数両の貨車が入っていた。電気機関車の形式はED100。実在しない形式なのだが、それは問題ではなかった。あまりの嬉しさで感激したからだ。大した知識もないまま、夢中になって遊んでいたらしい。当時の金属製鉄道模型は大変高価であり、まさか自分に与えてくれるとは夢にも考えていなかった。
自分が鉄道好きの理由は他にもある。高校時代まで住んでいた旧実家は、東海道本線と名鉄名古屋本線が並走する沿線に所在しており、学校帰りや休日には毎日電車を見ていた。恐らくこの実体験が自分を鉄道好きにした最大の要因だろう。祖母が生きていた頃は名古屋駅まで買い物に連れていってくれた。家の前は市電の停留所。高蔵(たかくら)から熱田神宮前まで乗車。そこで名鉄に乗り換えた。当時の花形車両といえば真紅のパノラマカー。祖母と一緒に展望席に陣取り、速度計を見ながらニコニコ顔だったらしい。夏休みの日曜日は早起きして父と踏み切りまで散歩した。寝台特急「あさかぜ」が通過するのを見るためだ。太陽がジリジリ照りつける中を父と一緒に待っていた。静寂を切り裂くように甲高い警笛が聞こえた直後、轟音と共に通過していく列車を見た時の感動は今も鮮明に覚えている。運転士になりたいとは思わなかったが、車両をコントロールできる鉄道模型にのめり込んだのは必然といえるかもしれない。
昨年の春から参入したメルカリで得た利益を活用して、鉄道模型を再開しようと思った。私がやりたい事は、細かい事に拘るマニアックな鉄道模型ではない。部屋のインテリアとしても成立し得るポータブル鉄道ジオラマの制作だ。自分が最も表現したいのは鉄道のある情景。車両は演者と位置付ける。実を言えば一時期、事業展開を図ろうと企画していた事もあったが、諸般の事情から断念した経緯がある。だが還暦を迎えた今の自分なら、実現できるのではないかと考える。良い部分を残しながらも、旧い部分は刷新して新しい価値観を創造する。まずは試作からスタート。鑑賞に耐え得るクオリティならメルカリ等で販売を試みたい。
先日の三連休を利用してお気に入りの鉄道模型店を訪れた。店を知るきっかけはネットの商品検索。これが見事にヒットしてお目当ての商品を購入出来る店を見つけた。場所は愛知県安城市。オンライン購入可能で実店舗もある。店主は仕事熱心でITにも強い方だ。店名もおしゃれで、鉄道模型店のイメージから大きくかけ離れたネーミング。店内も整理整頓されており、センスの良さが感じられる。一昔前の旧い鉄道模型店のイメージはない。今回は物品購入のためではなく、近鉄10100系新ビスタカーと12200系新スナックカーを併結出来る様に加工作業を依頼すべく訪れた。少年時代は工作意欲があったのだが、欲しい物品を自由に購入できなかった。そこそこの収入がある現在、欲しい物は購入できるようになったが、視力と集中力が衰えて工作意欲が低下した。皮肉なものだ。
中学校時代の日曜日。自転車で近所の模型店に出向き、ショーケースに顔を近づけて車両を見ていた頃の自分を思い出す。品揃えが悪く、いつ訪れても客がいない小さな店だった。私が東京を離れて名古屋に戻った頃、店を訪ねたら廃業していた。「廃業か‥」やるせない想いで自宅に帰った。何事にも終わりが訪れるのは致し方ない。人も店も永遠でない事は理解している。思い出や懐かしさに浸るのではなく、常に進行形で行きたい。現実を受け入れて今やりたい事をやり遂げる。それが人生であり、より豊かにするものが趣味と言えるかもしれない。
☆Magical Mystery Tour/Paul McCartney(LIVE)
https://www.youtube.com/watch?v=Cu7Rh2l_Lf0