買う度に小さくなり、
量も少なくなっていく。

2022年2月12日

昨年から値上げラッシュと言われている。天候不順や輸送コストの上昇などで何もかもが値上げしているようだ。収入が増加しての値上げならば経済が回っている証拠で問題はないだろう。だが現実は真逆だ。長引くコロナ禍で収入が減少した人が多いと聞く。その上値上げとなっては生活を直撃する。最も顕著な値上げは食品だろう。昨年は葉物野菜をはじめに様々な食品が値上げした。小麦を使用するパンや乳製品、お菓子など枚挙にいとまがない。そこで今回は、値上げについて考察してみたい。

最近よく耳にする言葉がある。「ステルス値上げ」この言葉の意味をご存知の方は、日頃からニュースを見ている方だろう。ステルス値上げとは、価格据え置きで量を減らす手法を意味する。例を挙げて説明しよう。私はケンタッキーフライドチキンのサンドをテイクアウトする機会が多い。一番のお気に入りは和風チキンカツサンドなのだが、買う度にバンズの直径が小さくなっているような気がしてならない。ただ実際にスケールを使用して測定した訳ではないので断定はできない。だが以前に比べて随分小さくなったという実感はある。これはケンタッキーに限らず、ファーストフード業界全体に同様のイメージを抱く人が多いと聞く。

ではなぜそのような手法を取る企業が多いのだろうか。それは殆どの経営者が、値上げ=顧客減少の最大要因と思っているからだ。だが果たしてそうだろうか。私はそう思わない。私に言わせれば、ステルス値上げは知恵がない経営者の短絡的な発想だ。私ならば堂々と値上げ宣言して、以前と同じ内容量にすると決断するだろう。あるいは内容量の多い商品をラインナップに加えて選択肢を増やす。価格据え置きで量を減らすステルス値上げは実質値上げと同じ事。ま、体裁重視の日本人らしい発想といえるかもしれない。だが値上げ自体は決して悪い事ではないのだ。むしろ堂々と宣言できない世の中に問題があるのではないだろうか。誤魔化すと言っては失礼だが、このような後ろ向きの経営者ばかりでは日本経済の未来は暗いと言わざるを得ない。

人の心理を考えた場合、今まではこのように対処してきたからという見解が多いのは理解できる。だがそれだけでは世の中は変わらない。消費者に正直な想いを伝えた上で、新しい価値観を提供するのも企業の使命だからだ。変化を恐れてばかりでは企業も人も変わらない。実を言えば私自身も還暦を機に人生観を変えた。見た目の若作りは今後も続けるつもりだが、年齢相応の生き方で寿命を全うしようと考えている。しっかり食べてよく眠る事。そして適度な運動。最も大切な事は頑張らない事。今までは我慢と辛抱の人生だった。今後は老いを楽しみながら生きる。素敵じゃないか。

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