傷だらけのおっさん!?

2022年2月19日

ショーケンこと萩原健一さん主演のテレビドラマが好きだった。最も印象深い作品は「傷だらけの天使」この番組はオープニングから愉快で好きだった。朝起きてクラッカーをつまみ、コンビーフやトマトにかぶりつくシーンが有名だった。私と同世代の方なら見た覚えがある人もいるだろう。コミカルでありながら、なんともいえない気だるさを感じるドラマだった。ショーケンの脇を固めた俳優陣も良かった。リーゼントヘアに革ジャンを着て弟分を演じた水谷豊さん、「兄貴〜」が口癖だった。女帝の貫禄十分の岸田今日子さん、薄気味悪い雰囲気を醸し出していた(失礼)岸田森さんという豪華なラインナップだった。ちなみに岸田今日子さんと岸田森さんは従兄弟の関係である。

現在の水谷さんは「相棒」の主演。頭脳明晰な杉下右京を演じて大活躍をしているのはご存知の通り。だが萩原さんは3年前に死去されており、既にこの世にいないのだ。萩原さんの生涯は波乱万丈だった。俳優になる以前はテンプターズのヴォーカルとしてヒット曲を連発して一世を風靡した。グループの解散後はPYG(ピッグ)という名のバンドに参加。ジュリーこと沢田研二さんとツインボーカルを務めた。萩原さん死去の報道を知った沢田さんは神妙な顔つきでインタビューに答えていたのが印象的だった。「同じ時代を生きたショーケンが亡くなったのはとてもショックです」当然だろう。お二人はグループサウンズ出身で活躍した盟友である。しかも亡くなった萩原さんの年齢は68歳である。まだまだこれからという時に旅立ってしまった。私自身、数々の苦難を乗り越えた萩原さん死去の報道を知った際、本当に人生は儚い事を思い知らされた。

人は誰しも歳をとる。実は自分も他人の事を言える状況ではない。50歳を超えた頃から原因不明の傷を見つけるようになってきている。ある時は朝起きたら瞼の上が切れており、うっすらと血が滲んでいた。剃刀で切ったような感じだったが、近年はシェーバーを利用しているため思い当たる節はない。また先日は左足の小指の爪が痛いと思って見たら出血しており指が真っ赤になっていた。なんじゃこれは!とすぐに消毒したのだが、爪が剥がれる寸前のグラグラ状態になっていた。この爪はもうダメだ。早く除去して新しい爪ができるようにしてあげようと捻って爪を除去した。爪は簡単に剥がれたが、爪が剥がれるなどそうそうある事ではない。幼少期に和室のござに爪を引っ掛けて剥がした事はあるのだが、それ以来の出来事だ。とにかくここ数年、原因が分からない体の傷が絶えないのだ。

傷だけではない。若い頃は無縁だった花粉症や皮膚の老化にも悩まされている。とりわけ寒さ厳しい今年の冬は乾燥で手足はカサカサ状態が続いている。また踵は毎年のようにひび割れを起こして血が滲んでいる。保湿が大切な事は重々理解しているが、面倒くさがりの自分はほったらかしの状態だ。歩行時など踵に体重がかかるとズキっと痛みが走る始末。手荒れが酷い時は手袋を着用して寝る時もあるが、普段は思いついた時にハンドクリームやワセリンを塗る程度。おしゃれには気を遣っているつもりなのだが、所詮男なので大雑把で長続きしない。

実は数日前にも驚いた事を体験した。就寝前に服用するてんかん防止薬を飲み忘れていた事に気づいた。ベッドから起き上がり部屋の電気をつけようとしたら感覚がおかしい。少しふらついているのかなと感じた。その後数歩歩いたところでよろけて転けてしまった。支えを求めて壁に手をかけたが間に合わず。大きな音を立てて転倒した。薬の副作用かもしれないがなぜ今日に限ってと考えてしまう。この歳になると体の劣化は避けて通れない。元より自分は一昨年に脳出血を患っているので嫌でもナーバスになってしまうのだ。そうなんだよな。たとえ気は若くとも、所詮61歳のおっさんなのだ。もう昔のようにはいかないよと自身を慰めている。

私事で恐縮だが数日前に61歳を迎えた。昨年は多くの友人にお祝いのメッセージをいただき還暦を迎えた。だが今年以降の誕生日は、ありがたくない記念日になりつつある。歳を重ねて劣化するばかりになるのではと危惧しているのだ。だが、そんな考え方をしてはいけないのかもしれない。生きていられる事はまだ役目があるという事だ。どんな小さな役目でもいい。他人を喜ばせること。それが自分に与えられた天命だと信じている。三月で今までの仕事に区切りをつけて四月から新しい事業を始める。恐らくこれが最後の冒険になるだろう。劣化を恐れずに明日を生きたい。ブログを読んでくださる皆様に心から感謝します。

左:水谷豊さん 右:萩原健一さん

60th anniversary,In My Life