われらパノラマカー世代 恩人であり同好の士 2022年5月22日
今回は旧ブログから続けている「フレンズカタログ」初の男友達を紹介させていただく。高橋宜久(たかはし のりひさ)さん(62)私より2歳年上で豊富な人生経験を持つ友人である。高橋さんと出会ったのは今から20年ほど前のこと。私が経営するデザイン会社は、FMラジオ局の販促業務を請け負っていた。当時はマルチメディアという言葉がもてはやされていた。私も現状に留まらず、新しい事業を始めたいと画策していた。その後数年を経て始めた事業が、グラフィックトレイン(以下GTと記す)プロジェクトである。高橋さんとはこの事業を通じて知り合った間柄である。
GTプロジェクトは、過去に類例がない消費者向けの事業企画。私がサイドビューで描く鉄道車両と、友人のケロヨンFが描く沿線情景を組み合わせたデジタルコンテンツ。趣味と実益を兼ねてネットで販売したいと立案した企画である。念願かなって独立したものの、著しく収益性が低いデザイン事業に辟易していたのは事実。次に自分が目指す場所はここだろうと考えていた。だがデジタルコンテンツ制作は、プログラミングを含めたオーサリングを要する。そんな事が自分にできるのだろうかと悩んでいたが、例によって父の一言「悩むよりもやってみろ」で決断した。
テレビゲームに精通していた自分だが、プログラミングは初めての分野である。意を決して始めたものの、四苦八苦の日々が続いた。一番の問題は開発用ソフトである。たった一文字入力ミスでも動作不能に陥ってしまう。これには本当に参った。ミスを見つけるのも時間を要して疲れてしまうのだ。一方では幸いな事もあった。開発言語は英語に近いものだった。ビートルズに心酔した自分にとって、英語に嫌悪感はない。短期間で技術を習得する事が出来た。それでもアップ直前になると、不機嫌極まりない状態に陥った。聞くところによれば、家族ですら私に近づかないようにしていたらしい。眠気と闘いながらの日々は辛かったが、忍の一字で完成に漕ぎ着けた。それが「グラフィックトレイン」名鉄コレクションVOL1である。作品は書店で販売できるように、出版契約を交わす事も考えていた。だがそのハードルは思いの外高いと分かり断念。自社販売のみとなった。
作品はCD-ROMでリリース、専用のサイトで通販を始めた。盛り込みたいアイディアは山ほどあったが、技術不足で断念せざるを得なかった事も多い。好きこそ物の上手なれというが、好きなだけでは上達できない事もある。数々の問題をクリアして世に出したが、真の功労者は私ではない。本ブログをサポートしてくれているケロヨンFである。彼女の努力無くして、この作品は完成出来なかっただろう。作品に登場する情景は、名鉄名古屋本線をロケハンして気に入った場所を撮影。それをベースにケロヨンFが作成したものだ。私が彼女に伝えた要望は一つだけ。「抜けるような青空にして欲しい」彼女が描いてくれた沿線情景は、緑豊かでとても美しい。一度でも乗車経験がある方なら雰囲気が出ていると分かるだろう。作品は当時の鉄道月刊誌でも取り上げられ、ケロヨンFの描いた沿線情景は高く評価された。
期待を込めた新事業だが、成功したとは言い難い。原因は、ひとえに私の技術力不足である。当時は作るだけで精一杯。プログラムを作り込む力量と余裕がなかった。だが事業を起こした意義は極めて大きい。ご承知のように、デザインは選ばれて請け負う世界。しかも顧客の殆どは企業である。選ぶのはお客様であり、請け負う側はどうする事も出来ない。ならば企業から選ばれるのを待つだけではなく、消費者を取り込む事業も必要だと結論づけた。それがGTプロジェクトである。この事業を始めた事で、全国のお客様に出会えた事は一生の財産である。中でも弊社までお越しいただき、購入いただいたお客様が高橋さんである。
その後GTプロジェクトは2001年にプログラムを刷新。車両と情景データを随時追加できる仕様に設計変更した。この結果CD-ROMにする必要がなくなり、USBメモリーにデータを収録して販売する形に進化した。父に背中を押されて始めたGTプロジェクトは、このシステムが最終形となり、一昨年に20周年記念作品を発売した。作品は苦難の歴史であり、制作当時の思い出が込み上げる。そして嬉しいことに高橋さんにも購入いただいた。この喜びは一生忘れないだろう。
高橋さんは1959年の生まれ。二人の娘さんをもつ父親であり、現在はお母さんと一緒に暮らしている。特筆すべき事は職歴であろうか。かつては地方公務員の職に就かれていたが、四年前に早期退職。後に一般企業に転職されている。私達の年齢になると、転職や再就職は困難を極めるため、思い留まる人も多いはず。だが高橋さんは転職を決断した。あくまでも推測だが、葛藤の末に決断されたのだろう。勇気ある決断は未来を切り開くきっかけになるはずだ。チャレンジャーであり続ける同世代の友人がいる事は心強い。穏やかな人柄に秘めた生き様は見習うべき部分が多々ある友人である。
高橋宣久さん略歴
1959 名古屋に生まれる
1982 愛知県内の大学を卒業、その後地方公務員職に就く。
2018 早期退職。その後一般企業に再就職。コロナ禍により、現在は休職中。
高橋さんの趣味は幅広い。基本は私と同様に鉄道好きである。だが鉄道ファンにも様々なジャンルがある。車両に乗る事が好きな乗り鉄、写真に収めるのが好きな撮り鉄、旅行に出かけるのが好きな旅鉄など幅広い。因みに高橋さんは何鉄ですかと尋ねたら全鉄(全てです)と返答された。私はと言えば、お気楽鉄というべきか。趣味はやすらぎの時間と位置付けている。ある程度の知識はあるが、深堀はしない。何事にも極める高橋さんとは真逆かもしれない。高橋さんからいただく賀状はご自身で撮影した鉄道車両をモチーフにしたデザイン。またメールアドレスも鉄道に関連したものである。本当に徹底しているのだ。また最近では、アニメと関連グッズのコレクションにも守備範囲が広がったという。因みに現在のお気に入りは「戦姫絶唱シンフォギア」らしい。(知らんがな) アニメについては高橋さんほど詳しくないが、鉄道とアニメは、ロマンを感じる共通項があるのではないだろうか。
高橋さんと私は同世代。名鉄7000系パノラマカーが活躍を始めた昭和の生まれだ。パノラマカーは真紅のボディカラーに連続窓の斬新なデザイン。誰もが知っている電車である。仕事や性格は異なる私達だが、鉄道好きが知り合うきっかけとなり、繋いでくれたものと理解している。今回の記事制作にあたり数回のメールを交わしたが、私が高橋さんに最も感じた事は、信念の強さである。守るべき事はどんな場合でも守る。この一言に生き様が集約されていると感じた。私の質問に丁寧に回答いただき、悔いのない毎日を送るように努めていますとご返答をいただいた。高橋さん、まもなく誕生日ですね。おめでとうございます。これからも元気にご活躍されることを祈っております。ご協力いただき、ありがとうございました。
☆電車とクルマが併走していた犬山橋とパノラマカー
https://www.youtube.com/watch?v=HgOITHguwto
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2022年5月22日
高橋宣久さん略歴
1959 名古屋に生まれる
1982 愛知県内の大学を卒業、その後地方公務員職に就く。
2018 早期退職。その後一般企業に再就職。コロナ禍により、現在は休職中。
高橋さんの趣味は幅広い。基本は私と同様に鉄道好きである。だが鉄道ファンにも様々なジャンルがある。車両に乗る事が好きな乗り鉄、写真に収めるのが好きな撮り鉄、旅行に出かけるのが好きな旅鉄など幅広い。因みに高橋さんは何鉄ですかと尋ねたら全鉄(全てです)と返答された。私はと言えば、お気楽鉄というべきか。趣味はやすらぎの時間と位置付けている。ある程度の知識はあるが、深堀はしない。何事にも極める高橋さんとは真逆かもしれない。高橋さんからいただく賀状はご自身で撮影した鉄道車両をモチーフにしたデザイン。またメールアドレスも鉄道に関連したものである。本当に徹底しているのだ。また最近では、アニメと関連グッズのコレクションにも守備範囲が広がったという。因みに現在のお気に入りは「戦姫絶唱シンフォギア」らしい。(知らんがな) アニメについては高橋さんほど詳しくないが、鉄道とアニメは、ロマンを感じる共通項があるのではないだろうか。
高橋さんと私は同世代。名鉄7000系パノラマカーが活躍を始めた昭和の生まれだ。パノラマカーは真紅のボディカラーに連続窓の斬新なデザイン。誰もが知っている電車である。仕事や性格は異なる私達だが、鉄道好きが知り合うきっかけとなり、繋いでくれたものと理解している。今回の記事制作にあたり数回のメールを交わしたが、私が高橋さんに最も感じた事は、信念の強さである。守るべき事はどんな場合でも守る。この一言に生き様が集約されていると感じた。私の質問に丁寧に回答いただき、悔いのない毎日を送るように努めていますとご返答をいただいた。高橋さん、まもなく誕生日ですね。おめでとうございます。これからも元気にご活躍されることを祈っております。ご協力いただき、ありがとうございました。
☆電車とクルマが併走していた犬山橋とパノラマカー
https://www.youtube.com/watch?v=HgOITHguwto