さようなら、安倍さん。

2022年7月23日

安倍元総理大臣が銃撃されて亡くなられた。事件以来報道を見ているが、未だに信じられない。世界一治安が良いといわれる日本で起きた銃撃事件である。いや、暗殺と言った方が良いかも知れない。前回記事で告知したように、新しいテーマで綴る予定だったが、一人の人間として、安倍さんの追悼記事を綴らせていただきたい。

はじめに、私は評論家ではないし、コメンテーターでもない。それ故に高尚な視点で物事を語る事はできない。ただ今回の事件で思った事は一つだけ。日本という国は、もはや特別優れた国ではなくなったという事だろう。毎日のように起きる凶悪事件、少子高齢化による国力の衰退、円安による競争力の低下などなど、良い状況が殆ど見られない。中でも近年に発生した凶悪事件には辟易している。つくづくおっかない国になってしまったという感じである。

今更悔やんでみても安倍さんは帰ってこない。だが疑問は残る。一点は大勢の警察官が警護しているにも関わらず、なぜ防ぐ事が出来なかったのかという事である。結論から言えば、警備体制がずさんだった。安倍さんの前には数名の警察官が配置されていたが、後方は誰もいないに等しい状況だった。これについては、事件当時の映像を見ても明らかである。次に犯人は二度発砲している。しかも最初と二度目にはタイムラグがある。ではなぜその間に身を挺して覆いかぶさる、あるいは伏せてくださいと言えなかったのだろうか。素人の自分が言う資格はないだろうが、あまりにもお粗末な警護で話にならない。プロフェッショナルが多いと言われる日本だが、それも過去の話になりつつある。

あくまでも私見だが、安倍さんはそれまでの日本の総理大臣のイメージを一新した感がある。何よりも就任当時、年齢が若かったこと。また背が高く、立姿も様になっていた。サミットなどで諸外国の首脳と並んでも見劣りする事はなかった。そして私が最も印象に残っているのは、あの穏やかな笑顔である。財界人、芸能人、一般人。様々な方と一緒に写った安倍さんの笑顔は人柄の良さが滲み出ているものだった。国会で野党から執拗に追及されても、冷静に対応される安倍さんの姿は、新しい時代を迎えた日本の政治家の象徴でもあったのだ。安倍さんの逝去が日本の凋落の象徴と言われないことを願うばかりだ。

安倍さんは多くの方々から愛された。それはまた安倍さんが、多くの人を愛したからだろう。告別式に訪れた方々が、涙を堪えている様子を何度も目にした。また葬儀当日の車中から、頭を下げる夫人の姿も強く印象に残った。銃撃の報を受けて駆けつけた夫人は、安倍さんの手を握ったら握り返してくれたような気がしたという。憲政史上最長記録を誇る元総理大臣が、あのような形で最期を迎えるとは誰が想像できただろうか。安倍さんの死去は、日本人の心に深い傷跡を残した。私を含めて国民が悲観した事実は否めない。だが祭壇に飾られていた、安倍さんの写真は微笑んでおられた。様々な問題で世界中が混乱の中にあるが、せめて日本だけでも心を寄せ合いたい。そして警護関係者は、本件を大失態と認識していただきたい。安倍さん、長い間ありがとうございました。

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