プロフェッショナル。 2022年8月20日
60年生きていると、とんでもない災難に遭遇する時がある。またそんな時は、何の前触れもなくやってくる場合が殆どだ。4年前に患った脳出血以来、大きな災難に遭遇する事はなかった。だが世の中には、二度あることは三度あるという話しもある。実は本日、再び災難に遭遇したのだ。今回は病気の類ではない。人為的な災難である。駐車場に止めていた私のプリウスが当て逃げされたのだ。
事の経緯を説明しよう。昼食を済ませて刈谷方面に出かけた。運転はケロヨンに任せた。途中でドラッグストアに立ち寄り、コーヒーを入手した。レジで会計を済ませてクルマに戻る。荷物を積み込み助手席に着座。だが違和感を感じた。ドアを開けて車を降りた。左前輪のホイールアーチが目に入り愕然とした。フロントバンパーが外れ落ちる寸前になっているではないか。んなバカな!出発時は問題なかった。私以外で運転できるのはケロヨンだけである。違うと思いながらも、本人に尋ねてみた。「これ知ってるか?」ケロヨンの目は点になっていた。「どうしてこんな事に‥」ケロヨンの動揺した様子を見て当て逃げだと直感した。ドラッグストアに入店した20分ほどの間にやられたのだろう。但しこれについては一つの疑問が残る。
当て逃げだとしたら、接触時に大きな音がするはずだ。店内にいたとはいえ、なぜ気付かなかったのだろう。あるいは擦った程度で音は出なかったのか。バンパーは当たりどころが悪いと簡単に外れてしまう事もある。いずれにせよこのままでは、帰宅することもできない。万一走行中に落下したら、厄介な事になるからだ。まずは冷静になり、何をすべきかを考えた。例えば警察署に出向いて相談しても、証拠を提示できなければ泣き寝入りになるだけだ。かと言って自費で修理を依頼すれば軽く10万オーバーだろう。いずれも納得できる訳がない。釈然としない中で、時間だけが過ぎていく。ここは慌てず騒がず冷静に。自問自答しながら数分後、一つの答えが導き出された。この付近にはケロヨンがお世話になっているトヨタの販売店がある。そこへプリウスを持ち込み、応急処置が可能かを打診してみようと考えた。
直ぐにケロヨンが電話をかけてくれた。担当者は在社しているとのこと。暗雲立ち込める中、一筋の光が差し込んだ。気持ちを切り替え販売店へ向かった。担当者は私も面識があるNさんである。現在は副店長になっておられた。ショールームに案内されて事情を説明した。また最悪の事態に備えて、バンパーの取り替え見積もりも依頼した。Nさんは「見積もりは後ほど出します。先ずは応急処置をしてみます」と席を離れた。ドリンクを頂き、待つこと30分ほど。「修理完了したので見ますか?」とお声がけいただいた。こんな短時間で?と思いながら駐車場まで歩いた。かがみ込んでバンパーを見た。「ウソだろう」見事に修理されているではないか。プロとはいえ、ここまで完璧な対応をいただくと声も出ない。Nさんが説明してくれた。バンパーは元通りに嵌めましたが、僅かな隙間が生じています。このままだと再び外れる可能性がありますので、金属で留めました。この状態でも走行には問題ないですか?とお尋ねしたところ、大丈夫ですとのこと。優れた技術と明快な説明。ネッツ刈谷の技術力に驚いたのはいうまでもない。
私がプリウスを購入したのは5年前。購入当時の販売店は、女性の店長さんだった。きめ細やかな対応で信頼できる体制だった。ところが数年後に店長さんは異動。その後は担当者が次々に退社する状況に陥った。退社の原因は様々だろう。そこは問題ではない。一番の問題は、後任をどうするかの連絡が一切なかったこと。これは責任者の怠慢だ。客の気持ちが分からない人なのだろう。当方の不信感は頂点に達した。信頼を損ねる企業は堕ちていくのみ。たとえトヨタであってもだ。これを機に地元の販売店を離れる決心を固めた。その場でNさんにお礼を述べて今後入庫の際はよろしくお願いしますと頭を下げた。
今回は意外な結末に助けられた。言うまでもなく、温かい対応をいただいたネッツトヨタ東海刈谷店のNさん、そしてスタッフの皆様のおかげである。先を見据えた判断と優れた技術力。これがプロフェッショナルだと教えられた。当て逃げを許すことはできない。だが若い頃のように激怒せず、冷静に考えた事が、今回の結末に繋がったものと理解している。人生は誰にも幸福と不幸が平等に訪れるもの。災難を受け入れる事で、明日を生きる力になるだろう。60歳を過ぎてもまだまだ勉強。そう考えれば、年を重ねる事も苦痛ではない。Nさん、お世話になり、ありがとうございました。そしてケロヨンもありがとう。因みに修理代金は無料でした。
Post Views:
13
2022年8月20日
60年生きていると、とんでもない災難に遭遇する時がある。またそんな時は、何の前触れもなくやってくる場合が殆どだ。4年前に患った脳出血以来、大きな災難に遭遇する事はなかった。だが世の中には、二度あることは三度あるという話しもある。実は本日、再び災難に遭遇したのだ。今回は病気の類ではない。人為的な災難である。駐車場に止めていた私のプリウスが当て逃げされたのだ。
事の経緯を説明しよう。昼食を済ませて刈谷方面に出かけた。運転はケロヨンに任せた。途中でドラッグストアに立ち寄り、コーヒーを入手した。レジで会計を済ませてクルマに戻る。荷物を積み込み助手席に着座。だが違和感を感じた。ドアを開けて車を降りた。左前輪のホイールアーチが目に入り愕然とした。フロントバンパーが外れ落ちる寸前になっているではないか。んなバカな!出発時は問題なかった。私以外で運転できるのはケロヨンだけである。違うと思いながらも、本人に尋ねてみた。「これ知ってるか?」ケロヨンの目は点になっていた。「どうしてこんな事に‥」ケロヨンの動揺した様子を見て当て逃げだと直感した。ドラッグストアに入店した20分ほどの間にやられたのだろう。但しこれについては一つの疑問が残る。
当て逃げだとしたら、接触時に大きな音がするはずだ。店内にいたとはいえ、なぜ気付かなかったのだろう。あるいは擦った程度で音は出なかったのか。バンパーは当たりどころが悪いと簡単に外れてしまう事もある。いずれにせよこのままでは、帰宅することもできない。万一走行中に落下したら、厄介な事になるからだ。まずは冷静になり、何をすべきかを考えた。例えば警察署に出向いて相談しても、証拠を提示できなければ泣き寝入りになるだけだ。かと言って自費で修理を依頼すれば軽く10万オーバーだろう。いずれも納得できる訳がない。釈然としない中で、時間だけが過ぎていく。ここは慌てず騒がず冷静に。自問自答しながら数分後、一つの答えが導き出された。この付近にはケロヨンがお世話になっているトヨタの販売店がある。そこへプリウスを持ち込み、応急処置が可能かを打診してみようと考えた。
直ぐにケロヨンが電話をかけてくれた。担当者は在社しているとのこと。暗雲立ち込める中、一筋の光が差し込んだ。気持ちを切り替え販売店へ向かった。担当者は私も面識があるNさんである。現在は副店長になっておられた。ショールームに案内されて事情を説明した。また最悪の事態に備えて、バンパーの取り替え見積もりも依頼した。Nさんは「見積もりは後ほど出します。先ずは応急処置をしてみます」と席を離れた。ドリンクを頂き、待つこと30分ほど。「修理完了したので見ますか?」とお声がけいただいた。こんな短時間で?と思いながら駐車場まで歩いた。かがみ込んでバンパーを見た。「ウソだろう」見事に修理されているではないか。プロとはいえ、ここまで完璧な対応をいただくと声も出ない。Nさんが説明してくれた。バンパーは元通りに嵌めましたが、僅かな隙間が生じています。このままだと再び外れる可能性がありますので、金属で留めました。この状態でも走行には問題ないですか?とお尋ねしたところ、大丈夫ですとのこと。優れた技術と明快な説明。ネッツ刈谷の技術力に驚いたのはいうまでもない。
私がプリウスを購入したのは5年前。購入当時の販売店は、女性の店長さんだった。きめ細やかな対応で信頼できる体制だった。ところが数年後に店長さんは異動。その後は担当者が次々に退社する状況に陥った。退社の原因は様々だろう。そこは問題ではない。一番の問題は、後任をどうするかの連絡が一切なかったこと。これは責任者の怠慢だ。客の気持ちが分からない人なのだろう。当方の不信感は頂点に達した。信頼を損ねる企業は堕ちていくのみ。たとえトヨタであってもだ。これを機に地元の販売店を離れる決心を固めた。その場でNさんにお礼を述べて今後入庫の際はよろしくお願いしますと頭を下げた。
今回は意外な結末に助けられた。言うまでもなく、温かい対応をいただいたネッツトヨタ東海刈谷店のNさん、そしてスタッフの皆様のおかげである。先を見据えた判断と優れた技術力。これがプロフェッショナルだと教えられた。当て逃げを許すことはできない。だが若い頃のように激怒せず、冷静に考えた事が、今回の結末に繋がったものと理解している。人生は誰にも幸福と不幸が平等に訪れるもの。災難を受け入れる事で、明日を生きる力になるだろう。60歳を過ぎてもまだまだ勉強。そう考えれば、年を重ねる事も苦痛ではない。Nさん、お世話になり、ありがとうございました。そしてケロヨンもありがとう。因みに修理代金は無料でした。