無茶苦茶でごじゃりまするがな

2022年10月16日

イラストレーション:ケロヨンF

今回の記事は、事実をありのままに記述させてただく。はじめに、私の妻はパートタイマーである。そして先頃まで、ダブルワークであった。午前中は近所のコンビニ。そして夕方から、総合病院の検査室に勤務している。いずれもベテランの存在になっている。実はこの秋から病院一本に絞るため、コンビニで外国人パートさんに引き継ぎを行っているようだ。コンビニ勤務は、予想以上のハードワークと聞く。接客の合間を見て、品出しや陳列を行う。人によっては、サンドイッチや弁当などの調理も担当するという。そしてお昼時はいつも大混雑。機敏に接客しないと、レジ待ちの列ができてしまう。その結果、トイレに行くこともできなくなるという。先日のこと、妻が帰宅するなり大きな声で話しかけてきた。「今後あの店では絶対に買わない!」「どうしたんだ。大きな声を出して。なにか嫌なことでもあったのか?」その後妻は大きく深呼吸。事の経緯を話し始めた。

ある日のこと。妻が店に到着すると、パートタイムの外国人女性が、肉まんを作る準備をしていたらしい。肉まんは秋の気配を感じる今頃から売上が伸びていく季節商品である。蒸し器で加熱する際は、蒸し器のタンク内の水を使用する。問題はこの後だ。外国人パートさんがタンクに水を入れる際、ポリバケツに水を溜めてから注いでいたという。ところがポリバケツは清掃用。床を掃除した雑巾やモップを洗うための物だという。それを見た妻は仰天。外国人パートさんをバックヤードに呼び寄せて叱ったという。妻曰く、日本語が理解できないのは仕方がない。でもそれくらいの常識はあると思っていたという。ポリバケツは店内で使用するだけらしい。だが掃除道具である。食品を加熱する蒸し器のタンクに水を注ぐのはご法度である。万一菌が混入していたら、取り返しがつかないことになりかねないからだ。

実はこの店で働く外国人パートさんは、以前から苦情が多いという。最も多い苦情は、お客様の話を全く聞いていない。そしてミスが多いと続く。きめ細やかな日本人パートさんと比較すると、外国人パートさんの対応は劣ると感じるお客様が多いようだ。例えば商品の陳列作業。どこに陳列すれば良いかが分からない時など、外国人パートさんはテキトーに陳列してしまうことが多い。味噌の隣に菓子パンを並べてしまい、お客様から「この陳列は何なのよ⁉︎」と指摘されてしまう。分からないことがあれば、同僚のパートさんに聞きなさいと伝えても実行に移さない。それが面倒臭いと感じるのか、自己判断でやってしまうようだ。そして最後は「ワタシ、ニホンゴ、ワカラナーイ」というセリフで終わってしまう。確かに苦情対応は、日本人でも難しい。中にはイチャモンに近いことをくどくど訴える客もいるからだ。外国人パートさんが、客の話を避けたがるのも頷ける。

妻の話を聞く限り、外国人パートさんに対する苦情やミスの大半は、日本語の習得困難が原因と思われる。これについて店や運営本部は、務める側の意欲の問題だと割り切っているようだ。だが雇用される側は、仕事を覚えることで精一杯と突っぱねる。両者の見解は平行線。そしてそのツケは、お客様の不満になっているのが実情のようだ。円滑なコミュニケーションが図れないから、誤解が生じたりトラブルに発展する。この悪循環を解決する方法はないものかと考えた。例えば外国人パートさんに、携帯型翻訳機を貸し出してはどうだろう。購入費用は本部と店が負担。外国人パートさんに有償格安でレンタルする。パートさんの語学力が上がれば、レンタル期間を短縮したり、中止できるシステムにすれば良い。

企業経営に最も大切なことは信頼である。そして信頼を得るためには、膨大な時間がかかる。だが信頼は、不信感をきっかけに、一瞬で失ってしまうのだ。現代はメディアの時代である。ブログやSNSを通じて、悪い評判は一気に拡散される。従って失った信頼を取り戻すのは容易ではない。フランチャイズの運営本部とオーナーは、利益を追求するだけではなく、お客様と従業員の声を聞き、働く意欲が湧くような環境づくりをしていただきたい。そのためには、人への投資をすることだ。雇用しているパートさんや従業員。誰もが日々努力を重ねているのだ。他人に任せてばかりで自らは何もしないという企業姿勢はいただけない。何よりも人を大切にすること。それが繁栄に直結するのだ。利益追及しか考えない企業は淘汰されていくだろう。

In My Life