さよなら‥そしてありがとう。2023年3月5日
いよいよ明日に迫った。住み慣れたマンションを退去して新しい住まいへ移る。独身時代を含めて二度目の引っ越しである。初回は妻と一緒に過ごした東京時代。「結婚しよう。来年の春頃迎えに行くよ」妻に伝えて互いに故郷へ帰った。この時は自分が引っ越し業者を選定。妻と私の二名分を依頼した。二人の荷物はトラックで名古屋と福島へ運ばれた。後に妻から聞いた話だが、本当に迎えに来てくれるのか疑心暗鬼だったという。全くもって失礼な話だ。自分は言ったことは必ずやり遂げる。それが男の甲斐性というものだ。あれから35年。若かった二人は初老の夫婦になっている。今回は私が前に出ず、妻に全てを任せた。最初は大丈夫だろうかという不安もあったが、敢えて口を挟むことはしなかった。私の経験上、任せたと言いながら口を挟むのはご法度。やる気を失ってしまうからだ。とはいえ、何もかも自分でやれというのは荷が重いはず。迷ったら俺に相談しろとだけ伝えた。
現在のマンションは1990年に新築で入居。以来様々な災難に遭遇した。はじめは雨漏り。新築であるにも関わらず、天井と壁の隙間から湧き出てきた。床を濡らしてはまずいとバケツに溜まった水を捨て続け、寝ずに一晩過ごした。バブル期の物件なので、手抜き工事だったのだろう。当時はオーナーさん自身で管理業務をされていた。毎週末訪れては、熱心に庭の手入れをされていたが、所詮素人なので知識が乏しい。形式上は会社だが、管理対応もずさんだった。その後オーナーさんが亡くなり、管理業務は不動産会社へ委託された。それから大凡10年は何事もなかった。だがここ数年は急速に老朽化が進行して入居者が激減。エレベーターがないことも時代遅れの物件と見られたのだろう。そして3年前の台風シーズンに再び雨漏り。壁の梁やサッシからも水が漏れ出た。更に出窓も水浸し状態。管理会社によれば、補修工事に800万円要したという。でもそれは入居者には関係のないこと。雨漏りするマンションに10万円以上の家賃を支払う価値はない。流石に嫌気がさして、引っ越しを考えるようになった。
移り住む新居は古くてやや狭い。だがそれは、大した問題ではない。この歳になると、煌びやかな生活など求めない。たとえ古びた住まいであっても、自分らしい生き方を実現できれば良しとする。新居に求めた価値観は、静かで安心して暮らせること。モノに溢れた生活から脱却してシンプルに暮らす。それを目標に掲げた。引っ越しの荷造りは、溜まりに溜まった物品を取捨選択した。例えば衣類。極端な話だが、夏と冬。それぞれ7日分あれば良い。そう考えると私の場合、今後何も買う必要がないだろう。また妻の考えによれば、ここ一年で着用していない衣類は、恐らく今後も着用しないとのこと。お説ごもっとも。迷ったのは雑誌や書籍類。本を捨てるのは罪悪感がある。だが重量がある物は捨てると決断。残しておきたい数冊のみキープ。後はリサイクルショップへ持ち込んだ。荷造りに要した時間は二週間ほど。かなり絞ったつもりだが、それでもまだ多い。新居へ移動後に再考しようとなった。
本記事を作成している現在、様々な思い出が頭に浮かぶ。直近で最も印象深い出来事は、5年前に脳出血で入院。リハビリ後に退院した頃だろうか。生還出来た喜びをしみじみ感じていたことを昨日のように思い出す。一時はどうなることかと思ったが、幸いにも以前と変わらない生活ができている。これからの人生は最後の章に入るだろう。新しい住まいは現在のマンションから徒歩5分の距離。鉄筋コンクリート造りの4階建て。私たちは2階の部屋に入居する。従って町名や電話番号は変わらない。だがライフスタイルは大きく変わる。いや、変えるのだ。プリウスを手放したのもそのためだ。今後の人生で何が必要なのかを見極める。そのための引っ越しでもあるのだ。新居の近くには、ひだまりの喫茶店がある。日曜日には妻と出掛けて食事を楽しみたい。妻と付き合い始めた独身時代の気分になれるかもしれない。さよならエスカーラ平針。沢山の思い出をありがとう。
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2023年3月5日
いよいよ明日に迫った。住み慣れたマンションを退去して新しい住まいへ移る。独身時代を含めて二度目の引っ越しである。初回は妻と一緒に過ごした東京時代。「結婚しよう。来年の春頃迎えに行くよ」妻に伝えて互いに故郷へ帰った。この時は自分が引っ越し業者を選定。妻と私の二名分を依頼した。二人の荷物はトラックで名古屋と福島へ運ばれた。後に妻から聞いた話だが、本当に迎えに来てくれるのか疑心暗鬼だったという。全くもって失礼な話だ。自分は言ったことは必ずやり遂げる。それが男の甲斐性というものだ。あれから35年。若かった二人は初老の夫婦になっている。今回は私が前に出ず、妻に全てを任せた。最初は大丈夫だろうかという不安もあったが、敢えて口を挟むことはしなかった。私の経験上、任せたと言いながら口を挟むのはご法度。やる気を失ってしまうからだ。とはいえ、何もかも自分でやれというのは荷が重いはず。迷ったら俺に相談しろとだけ伝えた。
現在のマンションは1990年に新築で入居。以来様々な災難に遭遇した。はじめは雨漏り。新築であるにも関わらず、天井と壁の隙間から湧き出てきた。床を濡らしてはまずいとバケツに溜まった水を捨て続け、寝ずに一晩過ごした。バブル期の物件なので、手抜き工事だったのだろう。当時はオーナーさん自身で管理業務をされていた。毎週末訪れては、熱心に庭の手入れをされていたが、所詮素人なので知識が乏しい。形式上は会社だが、管理対応もずさんだった。その後オーナーさんが亡くなり、管理業務は不動産会社へ委託された。それから大凡10年は何事もなかった。だがここ数年は急速に老朽化が進行して入居者が激減。エレベーターがないことも時代遅れの物件と見られたのだろう。そして3年前の台風シーズンに再び雨漏り。壁の梁やサッシからも水が漏れ出た。更に出窓も水浸し状態。管理会社によれば、補修工事に800万円要したという。でもそれは入居者には関係のないこと。雨漏りするマンションに10万円以上の家賃を支払う価値はない。流石に嫌気がさして、引っ越しを考えるようになった。
移り住む新居は古くてやや狭い。だがそれは、大した問題ではない。この歳になると、煌びやかな生活など求めない。たとえ古びた住まいであっても、自分らしい生き方を実現できれば良しとする。新居に求めた価値観は、静かで安心して暮らせること。モノに溢れた生活から脱却してシンプルに暮らす。それを目標に掲げた。引っ越しの荷造りは、溜まりに溜まった物品を取捨選択した。例えば衣類。極端な話だが、夏と冬。それぞれ7日分あれば良い。そう考えると私の場合、今後何も買う必要がないだろう。また妻の考えによれば、ここ一年で着用していない衣類は、恐らく今後も着用しないとのこと。お説ごもっとも。迷ったのは雑誌や書籍類。本を捨てるのは罪悪感がある。だが重量がある物は捨てると決断。残しておきたい数冊のみキープ。後はリサイクルショップへ持ち込んだ。荷造りに要した時間は二週間ほど。かなり絞ったつもりだが、それでもまだ多い。新居へ移動後に再考しようとなった。
本記事を作成している現在、様々な思い出が頭に浮かぶ。直近で最も印象深い出来事は、5年前に脳出血で入院。リハビリ後に退院した頃だろうか。生還出来た喜びをしみじみ感じていたことを昨日のように思い出す。一時はどうなることかと思ったが、幸いにも以前と変わらない生活ができている。これからの人生は最後の章に入るだろう。新しい住まいは現在のマンションから徒歩5分の距離。鉄筋コンクリート造りの4階建て。私たちは2階の部屋に入居する。従って町名や電話番号は変わらない。だがライフスタイルは大きく変わる。いや、変えるのだ。プリウスを手放したのもそのためだ。今後の人生で何が必要なのかを見極める。そのための引っ越しでもあるのだ。新居の近くには、ひだまりの喫茶店がある。日曜日には妻と出掛けて食事を楽しみたい。妻と付き合い始めた独身時代の気分になれるかもしれない。さよならエスカーラ平針。沢山の思い出をありがとう。