小五郎社長に就任する2023年11月4日
過日発覚した性加害問題でジャニーズ事務所が揺れている。これについて私が感じることはただ一つ。なぜ今まで問題視されなかったのかということだ。さほど芸能界に詳しくない自分だが、この問題は以前からウワサがあった。誰もが予想しながら、決して表面化しなかった疑問が残る。数々のスクープ実績がある写真週刊誌でも一切取り上げられなかった。考えられることは一つだけ。事務所側から圧力があったと言わざるを得ない。決して触れてはいけないタブーだったのだろう。カリスマ的存在の創立者。そして同族会社とくれば大凡推測ができる。少なくとも取締役以上の関係者は知っていたはずだ。企業ダメージと自らの保身を考えて、黙認していたのだろう。今回は企業の風通しについて綴ろう。
この問題の解決には時間を要するだろうが、徐々に真実が明らかにされていくはずだ。私が最も驚いたことは、長期に渡り行われていたという事実。これについては一切追求していなかった報道各社の姿勢も問われるだろう。そしてもう一点気になるのが今年限りで引退されて、ジャニーズ事務所新社長に就任された東山紀之さんのことである。東山さんといえば、ジャニーズ所属タレントの長男的存在と言われている。直近では必殺仕事人の渡辺小五郎を演じている。板についた役者として人気が高い。古巣を再建するという心意気は理解できるが、世間の風当たりは予想以上に強い。既にCM契約の破棄を打ち出しているスポンサー企業も続出している。前途多難。まさに茨の道である。正義感が強い東山さんならではの決断とは思う。だが引退までして背負う必要がある問題かと思ってしまう。なぜなら問題を起こした企業の要職に就任する以上、一挙手一投足が注目される。万一成果が上がらない場合は、非難の集中砲火に晒されるからだ。彼の気持ちは理解できるが、長い道のりになるだろう。
ジャニーズ事務所に限らず、企業の代表者は表と裏の顔がある。過去に私が在籍した企業もそうだった。敏腕社長の同族会社。社長は経営コンサルタントとして名を馳せていた。ある日のこと。私が書棚から資料を探していた時だった。一冊の本に栞が付けられていた。興味深くページを開くと、見覚えのある文面が目に止まった。それは先日社長が作成した事業企画書の中身そのものだった。要は他人が執筆した本からパクっていたのだ。偶然見つけたとはいえ、がっかりしてしまった。なんだ、あの企画書はパクリだったのか。社長を信頼して仕事を依頼するお客様が気の毒だと感じた。ただ、これだけならまだ許せる。私が最も許容できなかったことがある。私が在籍当時のこと。ある社員が退社することになった。退社当日の朝、社長は出先から経理担当者へ電話をかけて、社内の備品が持ち去られないようにと指示していた。私は経理担当付近の座席だったのですぐに分かった。世話になった会社の備品を盗む人などいない。あまりにも狭い了見に嫌気がさした。それから三ヶ月後、私は退社した。
この話には後日談がある。私が退社して数日後のこと。社長の奥様から自宅に電話があった。母が電話に出ると、息子さんは新しい会社に決まったのでしょうかと聞かれたという。当時の私は東京時代の友人に紹介いただいた企業に再就職が決まった状態。おかげさまで息子は新しい会社に勤めることが決まりましたと返答したという。母の見解によれば、できれば私に戻って欲しいと伝えたかったのではないかということだった。社長はワンマン経営者で他人の助言をすこぶる嫌う。だが奥様は常識ある方だったので、私に戻って欲しいと思ってくれたのかもしれない。仮にそうだとしても、私はノーと返答しただろう。自分は従業員や部下を大切にしない人の元では働かない主義だ。信頼は日々積み重ねて出来得るものだが、一瞬で失ってしまうものでもある。
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2023年11月4日
過日発覚した性加害問題でジャニーズ事務所が揺れている。これについて私が感じることはただ一つ。なぜ今まで問題視されなかったのかということだ。さほど芸能界に詳しくない自分だが、この問題は以前からウワサがあった。誰もが予想しながら、決して表面化しなかった疑問が残る。数々のスクープ実績がある写真週刊誌でも一切取り上げられなかった。考えられることは一つだけ。事務所側から圧力があったと言わざるを得ない。決して触れてはいけないタブーだったのだろう。カリスマ的存在の創立者。そして同族会社とくれば大凡推測ができる。少なくとも取締役以上の関係者は知っていたはずだ。企業ダメージと自らの保身を考えて、黙認していたのだろう。今回は企業の風通しについて綴ろう。
この問題の解決には時間を要するだろうが、徐々に真実が明らかにされていくはずだ。私が最も驚いたことは、長期に渡り行われていたという事実。これについては一切追求していなかった報道各社の姿勢も問われるだろう。そしてもう一点気になるのが今年限りで引退されて、ジャニーズ事務所新社長に就任された東山紀之さんのことである。東山さんといえば、ジャニーズ所属タレントの長男的存在と言われている。直近では必殺仕事人の渡辺小五郎を演じている。板についた役者として人気が高い。古巣を再建するという心意気は理解できるが、世間の風当たりは予想以上に強い。既にCM契約の破棄を打ち出しているスポンサー企業も続出している。前途多難。まさに茨の道である。正義感が強い東山さんならではの決断とは思う。だが引退までして背負う必要がある問題かと思ってしまう。なぜなら問題を起こした企業の要職に就任する以上、一挙手一投足が注目される。万一成果が上がらない場合は、非難の集中砲火に晒されるからだ。彼の気持ちは理解できるが、長い道のりになるだろう。
ジャニーズ事務所に限らず、企業の代表者は表と裏の顔がある。過去に私が在籍した企業もそうだった。敏腕社長の同族会社。社長は経営コンサルタントとして名を馳せていた。ある日のこと。私が書棚から資料を探していた時だった。一冊の本に栞が付けられていた。興味深くページを開くと、見覚えのある文面が目に止まった。それは先日社長が作成した事業企画書の中身そのものだった。要は他人が執筆した本からパクっていたのだ。偶然見つけたとはいえ、がっかりしてしまった。なんだ、あの企画書はパクリだったのか。社長を信頼して仕事を依頼するお客様が気の毒だと感じた。ただ、これだけならまだ許せる。私が最も許容できなかったことがある。私が在籍当時のこと。ある社員が退社することになった。退社当日の朝、社長は出先から経理担当者へ電話をかけて、社内の備品が持ち去られないようにと指示していた。私は経理担当付近の座席だったのですぐに分かった。世話になった会社の備品を盗む人などいない。あまりにも狭い了見に嫌気がさした。それから三ヶ月後、私は退社した。
この話には後日談がある。私が退社して数日後のこと。社長の奥様から自宅に電話があった。母が電話に出ると、息子さんは新しい会社に決まったのでしょうかと聞かれたという。当時の私は東京時代の友人に紹介いただいた企業に再就職が決まった状態。おかげさまで息子は新しい会社に勤めることが決まりましたと返答したという。母の見解によれば、できれば私に戻って欲しいと伝えたかったのではないかということだった。社長はワンマン経営者で他人の助言をすこぶる嫌う。だが奥様は常識ある方だったので、私に戻って欲しいと思ってくれたのかもしれない。仮にそうだとしても、私はノーと返答しただろう。自分は従業員や部下を大切にしない人の元では働かない主義だ。信頼は日々積み重ねて出来得るものだが、一瞬で失ってしまうものでもある。