世の中舐めんなよ。

2024年1月13日

自ら頂き女子リリちゃんと名乗り、男性から現金を騙し取るマニュアルを販売した容疑で25歳の女性が逮捕されたとのニュース番組を見た。見るからに童顔の女性は20代からホストへのめり込み、風俗で稼いでは貢ぐことを繰り返していたらしい。彼女が恋愛感情をちらつかせて騙し取った総額は2億円以上。そのお金の殆どを歌舞伎町のホストへ貢いでいたという。また本件とは別で女性客がホストを刺す事件も起きている。今回はホストを巡る世相と事件の背景について考えてみたい。

番組の冒頭では、なぜ女性客がホストにのめり込むのか解説されていた。その答えはこころのスキマを埋めるためとのこと。どこかで聞いたようなセリフである。大金を注ぎ込んで豪遊する異常な金銭感覚。専門家によれば、女性客はホストから姫と呼ばれているという。そして姫はお気に入りのホストの売り上げに貢献できることを最大の喜びと感じて貢ぐという。残念ながら私はこの感覚が既に理解できない。なぜならホストはビジネスと割り切っている。従って女性客に対して、恋愛感情などあるわけが無い。見返りがないにも関わらず、なぜ大金を貢ぐ必要があるのだろうか。それはホストクラブの敷居が従来よりも低くなり、3,000円程度から楽しめる料金体系になっているからだ。これにより客層の低年齢化が進み、ホストクラブに対する価値観も変化しているという。従来のお酒と会話を楽しむ場所という価値から、お気に入りのホストに対して、自分が売上に貢献しているという名誉欲に対する価値感への変化である。私に言わせれば、くだらない自己満足にすぎないのだが、一部の女性客にとっては、人生をかけて支えたい存在になることもあるという。そしてその想いを敏感に感じられるホストは、より多くの代金をお支払いいただくために、様々な画策を企てる。今回起訴されたりりちゃんは、歌舞伎町のホストから魚の形をした原価3,000円のやかん(骨酒容器)を1200万円で購入している。恋は盲目というが、これでは単なる安物買いの銭失いである。彼女が逮捕された時の所持金は数千円。カプセルホテルを常宿にしていたという。

本件においては、被告に貢がせた歌舞伎町のホストも逮捕されている。その容疑は詐欺で騙し取ったお金であることを知りつつも、被告に貢がせていたことである。なんとも虚しい事件と言わざるを得ない。女性客がホストに貢ぐ。またホストが貢がれるだけなら、事件にはならず、逮捕もされなかっただろう。つまり大金を貢いだ被告。そして大金を貢がせたホスト。両者の常識と社会性が問われている事件なのだ。二人とも商才があったことは間違いない。だが人生経験が少ない故に勘違いをしている。それは自ら考案したビジネスアイディアが、罪に問われるものとは思っていなかったというところだろうか。逮捕起訴された若い二人の未来は決して明るくない。恐らくほとぼりが冷めた頃に、また同じ過ちを繰り返すのではないだろうか。なぜならば、二人とも罪悪感が感じられないからだ。

魚の形をした3,000円のやかん(骨酒容器)を1200万で購入したリリちゃんの愚かさ。そのやかんを1200万で購入させたホストのあざとさ。どっちもどっちだが、あまりにもセンスが悪い。いや、やかんのことではない。二人の生き方である。被告というありがたくない立場を頂いた姫。お金では買えない前科を手に入れた若造。お二人ともご満足ですか。

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