ダイハツよお前もか Special issue!

2023年12月24日

またかという事実が発覚した。自動車の認証における不正である。過去には三菱自動車で発覚したことがある。だが今回は、トヨタ自動車完全子会社のダイハツ工業である。ことの発端はグループ企業社員からの内部告発。これを受けて第三者委員会が調査報告書を作成。12月20日に公表された。最も驚いたのは不正件数の多さだ。トヨタ車を含む64車種でエンジンやエアバッグなど174箇所に及ぶ。トヨタの子会社だから安心と言えなくなった事態は深刻と言わざるを得ない。因みにトヨタグループでは昨年、商用車大手の日野自動車で排ガス不正が発覚、今年3月には豊田自動織機も不正が明らかになっている。生産台数の増大に気が緩んでいると思いたくないが、今回の不祥事で株価も急落。ことによるとダイハツの生産認可取り消し。自動車業界の再編に及ぶかもしれない。今回は予定を変更。この件について綴ることにした。

不正の対象はダイハツ車のみならず、OEM供給しているトヨタ、マツダ、スバルのクルマも含まれるという。この結果として現状では、ダイハツ全車種の出荷停止という前代未聞の事態になっている。販売店にはユーザーから問い合わせが殺到。自分のクルマは大丈夫か。契約はどうなるのかと言った声が寄せられているという。先頃行われたダイハツ工業の記者会見をテレビで見た。トヨタ自動車同席の会見である。ダイハツ工業社長曰く「現状では事故等の報告はございません。従って安心して乗っていただけると思います」と発言された。冗談ではない。自動車は一歩間違えたら、人の命を奪うことになる。不正を行っておきながら、この発言は余りにも軽過ぎる。関係者によれば、グループ企業が声を挙げたから発覚したとのこと。このことからも、トヨタ自動車の社員による告発と推測できる。言い換えれば、ダイハツ内部では揉み消されると危惧した上での告発といえる。ダイハツの責任は当然のことだが、トヨタ自動車の監督責任も極めて大きい。

不正といえば思い出すことがある。パジェロで名を馳せた三菱自動車である。三菱自動車は2000年と2004年。二度に渡るリコール隠しが発覚。2004年は企業の存続すら危ぶまれた。ところが7年前の2016年に三度目の不正が発覚。国土交通省へ不正な試験データを報告して燃費性能を5〜10%上乗せしていたという。この時も今回と同様に、協業他社からの通告で不正が発覚した。当時の世論は三菱自動車に見切りをつけた。この会社はもう終わった。不正を繰り返す企業は必要ないと糾弾した。私自身は三菱自動車のクルマを欲しいと思ったことは一度もない。元より隠蔽体質で社会的信頼がない企業が、今後もクルマの製造を続けて良いものかと思っていた。信頼は日々積み重ねて出来得るものであり、一瞬にして失う怖さがある。今回はダイハツの不祥事であるが、トヨタ自動車の完全子会社である。それ故に三菱自動車のようなことは絶対ないと信じていた。だがその信頼も、崩れ去った感がある。こんな状態では日本の自動車産業の未来は決して明るくない。

プリウスに乗る以前は、ダイハツのムーブカスタムに乗っていた。優れたパッケージングによる広々とした空間。そして上質なインテリアデザインが売り物だった。エンジンはツインカムターボ。アクセルを踏み込むと一気に加速した。走り屋の自分としては、軽でも十分楽しめると9年間乗り続けた。人生の最も辛い時を過ごしたクルマとして一生忘れないだろう。プリウスを購入して手放す時は涙が溢れた。現状では軽自動車のシェアはダイハツが一位であるが、今回の不正を機にひっくり返る可能性がある。そして社会への影響を考えると、日本の未来に不安を感じてしまうのは私だけだろうか。ものづくり世界一を誇っていた我が国。現実では家電や自動車も他所の国に一位を奪われつつある。一方では裏金づくりと居眠りに熱心な日本の老害政治家に憤りを感じる。上がこんな状態だから全てが堕ちていく。働かざる者食うべからず。子供でも分かる話だ。プーさんのいる国に、日本はもう終わったよと言われたくない。

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