お宅さんは誰ですかNEW!

2024年6月2日

歳を重ねて劣化したなと感じるのが記憶力だ。テレビを見てタレントの顔は覚えているのだが肝心の名前が出てこない。こんな事態に陥ることが度々ある。必死に思い出そうとするのだが、結局思い出せずにイラついてしまう。横に座っている妻に尋ねても思い出せないと返答してきた。

かつて知り得たことがある。人の顔と名前は異なる情報。顔は視覚情報だが名前は文字情報だ。それを一度に紐づけるのは無理があるらしい。聞くところによれば脳は何もかも記憶することはできないという。そのため記憶の整理を行なっているらしい。興味がある情報は残しておくが、興味がない情報は次第に忘れていくという。ではどうすれば、記憶の劣化を防ぐことができるのだろうか。これについては中学時代の暗記ツールが思いだされる。「日本史連想記憶術」のような題名の小さな本だった。鎌倉幕府が誕生した年は1192年。「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」と記述されていた。これは覚えやすいと思った。しかも出来事を連想させるイラストが添えられており、イメージが湧きやすい。鎌倉幕府が倒れた年は1333年。一味散々鎌倉幕府と記されていた。覚えやすさと語呂の良さ。現代でも通用するといえよう。ところが昨今これは事実と異なるのではないかという説が出てきた。おいおい。当時学んだことが間違いだと?今更言われても困るのだが。

高校時代の昼食後は日本史の授業があった。蒸し暑い梅雨の時期は猛烈な眠気が襲ってくる。担当教師は教室に入るなりこう言った。「幕府とは何ぞや?中川」(また不意打ちかよ)と思いながら毅然とした態度で回答した。「国の政治を司るところです」「そうだな」(よし、これでもう自分が指名されることはない)当時の席順はくじ引きで決めていた記憶がある。私は前から三番目で指名される可能性が高い席だった。しかも左には当時付き合っていた女子がいて、これは嫌がらせかと思っていた。季節が変わると転校生がやってきた。今までに聞いたことがない名字の生徒に出会うことがあった。最も驚いた名字は①中垣内(なかがいと)②鋤柄(すきがら)の二名である。いずれもすぐに読み方を覚えたが、以来忘れたことはない。また生徒の顔と声も覚えている。中垣内さんは女子。やや訛りがあったと記憶している。鋤柄君は冗談好きで笑いを取るのが上手かった。やはり受けるインパクトが強いほど、忘れにくい気がする。

記事を閲覧いただいた皆様へ伝えたいことがある。上の画像は源頼朝だと思い掲載したのだが、実は頼朝ではないということが定説になりつつある。ではこの人は誰なのかと調べたところ、室町幕府を開いた将軍である足利尊氏の弟、足利直義(ただよし)だという。それが証拠に現在は、教科書からも上の画像が削除されている。また鎌倉幕府の誕生は1192年とは断定できないという。1180年〜1192年にかけて段階的に成立したのが正しいという。今まで事実と思ってきたことがあっさり覆されると、何が本当なのか疑心暗鬼になってしまう。時の流れを経て新たな事実が分かるのが歴史の面白味。私たちの世代が学んだ誤った事実。これも教育の歴史の1ページに刻まれるのだろうか。

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