88の日 NEW!

2024年6月29日

私の母が88歳の誕生日を迎えた。今まで何もできなかったので、今日はお祝いしようと実家を訪れた。歳を重ねて足腰が弱くなったとはいえ、元気な母を見て一安心した。

うちの家族は2006年以降様々な不幸に見舞われた。最初は母にがんが見つかり手術を受けた。その後程なくして父にがんが見つかった。母と同様きっと助かると信じていたが、検査結果は手の施しようがない状態と診断されて手術不可。わずか二ヶ月で亡くなった。父が亡くなった直後の母は「こんなことになるのならお父さんにはもっと美味しいものを食べさせてあげたかった」「もっと色々してあげたかった」後悔と悲観に暮れる日々だった。「お母さん、そんなことはないよ。お父さんは幸せな人生だったと感じているよ。気落ちする母を慰めようと声をかけたが、母としては到底納得できなかったのだろう。

父の死後は2匹の動物も亡くなった。父が散歩に連れて行くのを楽しみにしていた飼い猫のノエル。私が毎日事務所へ連れて行ったジリスのコロン。なぜ次々に亡くなってしまうのかと落ち込んだ。その答えを導き出し、立ち直るのに数年を要した。分かった事は一つだけ。それだけ長い間、うちの家族は幸せだったということ。たくさんの幸せがあったから、様々な不幸が訪れたのだろう。

今日は誕生日のお祝いとして、うなぎとメロンを贈った。つくづく人が喜ぶ姿を見るのは良いものだ。だが一つだけ悩むことがある。それは現在の家族の姿を公開すべきかということ。母も私もそして妻も年相応の顔になっているからだ。誰もが避けて通れない、老いに直面している。男の自分ならまだしも、女性は複雑な気持ちに違いない。だが母の一声「修正してよ」で公開を決めた。母さん、人は変わり行くもの。ですが私たちはまだまだ見た目も若い。だから修正する必要はないよ。88歳おめでとう。そして父と出会ってくれてありがとう。父のためにも長く生きてください。そして今後は母さん自身のために、大切な時間を使ってください。それが私たちの願いです。