Coming Soon! THE BEATLES 『GET BACK』 August 24,2021
延期されていたあの映画が遂に公開される。1970年に公開されたビートルズ最後の映画「レット・イット・ビー」の新バージョン『GET BACK』である。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン。元ビートルズのメンバー二人に加えて、家族や関係者の全面的な協力を得て制作された作品である。2020年に公開予定であったが、コロナ禍で延期が発表されていた。それもあってか先ごろ先行特別映像が公開され、ビートルズファンの間で大きな話題になっている。
映画『GET BACK』をご存知ない方のために少しだけ解説させていただく。ビートルズのラストアルバムである「LET I T BE」は、当初「GET BACK」のタイトルで企画されたものである。アルバム「GET BACK」はポール・マッカートニーの発案によるもので、ビートルズの原点である、シンプルなバンドサウンドに戻ろうとの想いを込めて制作されたものである。「GET BACK」の制作にあたり、ビートルズは三つのコンセプトを掲げていた。レコーディングは、従来のようなオーヴァーダビングを行わず、スタジオライブ形式の一発録りで行う事。スタジオでリハーサルを行い、その過程をフィルムに記録する事。そして完成したアルバムの楽曲をコンサートで披露する事である。
通称”ゲットバック・セッション”と言われるスタジオのリハーサルについては、録音された音源が流出。海賊盤やコレクターズ商品と呼ばれる、非合法な商品が世界中で販売されている。“ゲットバックセッション”は、ビートルズの人間関係がぎくしゃくした時期に行われた事で、メンバー間の衝突が顕著になっていた。曲のアレンジや演奏スタイルを巡ってポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンが対立。ポールの細かい演奏指示に嫌気がさしたジョージは一時的にグループを脱退。リンゴ・スターもスタジオを飛び出した事があると証言している。この時のピリピリした雰囲気は、映画「レット・イット・ビー」の中にも垣間見られる。
そのような状況下で制作されたアルバム「GET BACK」は、メンバー自身も完成度が低いと認めており、セッション終了後も商品化されず、手つかずの状態で放置されていた。この状態に終止符を打ったのがプロデューサーのフィル・スペクターである。彼はジョン・レノンやジョージ・ハリスンから依頼され、”ゲットバック・セッション”の音源を元にアルバムを完成させた。その際にはタイトルを変更して発売された。それがアルバム「LET IT BE」である。また、”ゲットバックセッション”の映像を編集して公開されたものが映画「レット・イット・ビー」である。
余談ではあるが、アルバム「LET IT BE」の発売に際しても様々なトラブルが発生した。最も有名な出来事は、プロデューサーのフィル・スペクターが「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」に壮大なオーケストラアレンジを加えた事である。ポール・マッカートニーは、この曲をシンプルな演奏のままでリリースしたかったと後に語っている。アルバムのリリース当時、ポールが激怒した事は言うまでも無い。
上記の様にアルバム「GET BACK」は、混迷を極めた時期に制作された幻のアルバムと呼ばれている。また、映画「レット・イット・ビー」に至っては、陰湿なイメージが付き纏い、解散に向かっていくビートルズを描いた印象が拭えないものであった。このイメージを払拭する為に制作されたものが映画『GET BACK』である。できる限り丁寧に説明させていただいたつもりだが、制作の経緯がお分かりいただけただろうか。
先行特別映像は僅か5分間ほどのものであるが、私の第一印象はとてもエキサイティングな映像と感じた。映画「レット・イット・ビー」で見受けられた陰湿な印象は取り除かれて、陽気にアルバム作りを楽しむビートルズ本来の姿が映し出されている。ラフミックスのような生々しいサウンドに加えて、ノイズが取り除かれた極めて鮮明な映像も印象に残る。最初のゲットバックの演奏シーンから一気に引き込まれた。僭越ではあるが、コアなビートルズファンである私にとって、旧作の映画「レット・イット・ビー」に関連する映像はほとんど見尽くした感があった。関連するコレクターズDVDなども殆ど購入しているからである。しかしながら新バージョン『GET BACK』の先行特別映像を見る限り、”ゲットバック・セッション”に対する印象が大きく変わった。言うまでもなく好転したのである。
映像に登場する人物にも注目していただきたい。ビートルズのメンバー4人に加えて、音楽プロデューサーのジョージ・マーティン、ポールの前妻のリンダ・マッカートニー、ジョージ・ハリスンが声をかけたキーボードプレイヤーのビリー・プレストン、長年に渡りビートルズのロードマネージャーを務めたマルコム・エヴァンズなど、既に他界している人も元気な頃の姿が映し出されているのも感慨深い。この映像を見る限り、映画『GET BACK』はかなり期待できる。作品が完成したあかつきには、旧バージョンの「レット・イット・ビー」は忘れても良いのではないかと思えてくる。作品の詳細はまだ不明であるが、前作のハイライトであったアップルビル屋上のライヴパフォーマンスはノーカットで使用されると言われている。本作品はビートルズファンにとって、2021年最高のお年玉になるであろう。尚、オリジナルバージョンの「レット・イット・ビー」についても、完全復元版のリリースが予定されている。
☆『GET BACK』先行特別映像
https://www.youtube.com/watch?v=OzW8ZRVD0H8
延期されていたあの映画が遂に公開される。1970年に公開されたビートルズ最後の映画「レット・イット・ビー」の新バージョン『GET BACK』である。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン。元ビートルズのメンバー二人に加えて、家族や関係者の全面的な協力を得て制作された作品である。2020年に公開予定であったが、コロナ禍で延期が発表されていた。それもあってか先ごろ先行特別映像が公開され、ビートルズファンの間で大きな話題になっている。
映画『GET BACK』をご存知ない方のために少しだけ解説させていただく。ビートルズのラストアルバムである「LET I T BE」は、当初「GET BACK」のタイトルで企画されたものである。アルバム「GET BACK」はポール・マッカートニーの発案によるもので、ビートルズの原点である、シンプルなバンドサウンドに戻ろうとの想いを込めて制作されたものである。「GET BACK」の制作にあたり、ビートルズは三つのコンセプトを掲げていた。レコーディングは、従来のようなオーヴァーダビングを行わず、スタジオライブ形式の一発録りで行う事。スタジオでリハーサルを行い、その過程をフィルムに記録する事。そして完成したアルバムの楽曲をコンサートで披露する事である。
通称”ゲットバック・セッション”と言われるスタジオのリハーサルについては、録音された音源が流出。海賊盤やコレクターズ商品と呼ばれる、非合法な商品が世界中で販売されている。“ゲットバックセッション”は、ビートルズの人間関係がぎくしゃくした時期に行われた事で、メンバー間の衝突が顕著になっていた。曲のアレンジや演奏スタイルを巡ってポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンが対立。ポールの細かい演奏指示に嫌気がさしたジョージは一時的にグループを脱退。リンゴ・スターもスタジオを飛び出した事があると証言している。この時のピリピリした雰囲気は、映画「レット・イット・ビー」の中にも垣間見られる。
そのような状況下で制作されたアルバム「GET BACK」は、メンバー自身も完成度が低いと認めており、セッション終了後も商品化されず、手つかずの状態で放置されていた。この状態に終止符を打ったのがプロデューサーのフィル・スペクターである。彼はジョン・レノンやジョージ・ハリスンから依頼され、”ゲットバック・セッション”の音源を元にアルバムを完成させた。その際にはタイトルを変更して発売された。それがアルバム「LET IT BE」である。また、”ゲットバックセッション”の映像を編集して公開されたものが映画「レット・イット・ビー」である。
余談ではあるが、アルバム「LET IT BE」の発売に際しても様々なトラブルが発生した。最も有名な出来事は、プロデューサーのフィル・スペクターが「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」に壮大なオーケストラアレンジを加えた事である。ポール・マッカートニーは、この曲をシンプルな演奏のままでリリースしたかったと後に語っている。アルバムのリリース当時、ポールが激怒した事は言うまでも無い。
上記の様にアルバム「GET BACK」は、混迷を極めた時期に制作された幻のアルバムと呼ばれている。また、映画「レット・イット・ビー」に至っては、陰湿なイメージが付き纏い、解散に向かっていくビートルズを描いた印象が拭えないものであった。このイメージを払拭する為に制作されたものが映画『GET BACK』である。できる限り丁寧に説明させていただいたつもりだが、制作の経緯がお分かりいただけただろうか。
先行特別映像は僅か5分間ほどのものであるが、私の第一印象はとてもエキサイティングな映像と感じた。映画「レット・イット・ビー」で見受けられた陰湿な印象は取り除かれて、陽気にアルバム作りを楽しむビートルズ本来の姿が映し出されている。ラフミックスのような生々しいサウンドに加えて、ノイズが取り除かれた極めて鮮明な映像も印象に残る。最初のゲットバックの演奏シーンから一気に引き込まれた。僭越ではあるが、コアなビートルズファンである私にとって、旧作の映画「レット・イット・ビー」に関連する映像はほとんど見尽くした感があった。関連するコレクターズDVDなども殆ど購入しているからである。しかしながら新バージョン『GET BACK』の先行特別映像を見る限り、”ゲットバック・セッション”に対する印象が大きく変わった。言うまでもなく好転したのである。
映像に登場する人物にも注目していただきたい。ビートルズのメンバー4人に加えて、音楽プロデューサーのジョージ・マーティン、ポールの前妻のリンダ・マッカートニー、ジョージ・ハリスンが声をかけたキーボードプレイヤーのビリー・プレストン、長年に渡りビートルズのロードマネージャーを務めたマルコム・エヴァンズなど、既に他界している人も元気な頃の姿が映し出されているのも感慨深い。この映像を見る限り、映画『GET BACK』はかなり期待できる。作品が完成したあかつきには、旧バージョンの「レット・イット・ビー」は忘れても良いのではないかと思えてくる。作品の詳細はまだ不明であるが、前作のハイライトであったアップルビル屋上のライヴパフォーマンスはノーカットで使用されると言われている。本作品はビートルズファンにとって、2021年最高のお年玉になるであろう。尚、オリジナルバージョンの「レット・イット・ビー」についても、完全復元版のリリースが予定されている。
☆『GET BACK』先行特別映像
https://www.youtube.com/watch?v=OzW8ZRVD0H8