AKIRA’S BLOG SPECIAL ISSUE vol.2デザインを通じて知り合ったステキな仲間たち。第2回は大島奈菜子さん。
2020年10月6日FRIENDS CATALOGUE
東京本社を含めてデザインに従事する人は大勢いたが、
ボクがデザイナーとして認めていたのは彼女だけ。
何より安心して任せられたし何をさせても一番上手だった。
今回ご紹介する彼女も以前ボクが勤めていた会社の同僚。
当時のボクはあるデザイン会社を辞めて、東京に本社を置く名古屋オフィスのディレクターとして責任者兼任で移籍した身分だった。名古屋オフィスは出来立てで経営基盤はゼロに近い状態だった。今思えば、よくこんな状態でボクに丸投げしたと思うのだが、引き受けた以上結果を出すのがボクの使命。日々営業も行い社内を取りまとめて、自身でデザインもこなしていた。当時彼女の他には、男性と女性のデザイナーが各1名ずつ在籍していたが、男性の方は見るからに頼りないのんびりお坊っちゃまタイプ。もう一名の女性は素人も同然だった。東京本社にもデザイナーは大勢いたが、デザインは芸術だと思い込む所謂デザインバカが多く、ボクは誰の意見も参考にせず基盤を作って行った。最初にした事は名古屋オフィスの経営を軌道に乗せる事。これを最優先にクリアして本社に何も言わせない状態にしたかった。とは言え営業も置かず、このメンバーで安心して仕事を任せられるのはボクを除くと2人だけ。そんな中、ものの数ヶ月で名古屋オフィスの運営が軌道に乗ったのは彼女の力によるところが大きい。女性らしい繊細な感覚と共に柔軟な発想を持ち、時に男性を凌駕する行動力の彼女は、何をさせても安心して任せられる存在で、存分に力を発揮してくれた。何事もそうであるが基本がしっかりしている人は応用力も高い。彼女の作品で最も感じたのは多彩な表現テクニックを身につけていた事だ。ボクはこう見えても人を見る目は確かだという自信がある。プロは仕事の進め方を見ていればどの程度の能力があるのかすぐ分かるものなのだ。
所詮女性は当てにならないと言う
ボクの意識を最初に変えてくれたのが彼女。
今だから言うが、以前のボクは女性の能力はあてにならないと思っていたのも事実だ。ボクは東京で長年生活してきたが、今ほど女性の進出が容易では無い時代だった。どの会社も権限のあるポジションは男性ばかりでそれが当たり前の感覚になっていたのだと思う。その意味では、彼女が最初にボクの意識を変えてくれた女性だと言えるのではないか。前回紹介した石原もそうであったが、彼女も男性以上の働きをして助けてもらったという思いがある。ボクの入社後彼女とは数年間一緒に仕事をしたが、その後体調を考えて退社したと記憶している。以降賀状のやりとりだけになっていたが、今回久しぶりに連絡を取ったところ、本企画に快く協力してくれた。この歳になって最も嬉しいのは、縁あって同じ会社で働いた仲間が今も現役で活躍している事。これに尽きる。これについては過去の記事でも触れた様に、歳を重ねるごとにデザインの仕事は続けることが難しい職種と言える。まず視力が落ちる。次に集中力、そして持続力と次々に落ちて行く。ましてや、今の時代はパソコンやタブレットを使って素人でも簡単にデザインができる時代だ。でも大丈夫。ボクもそうだが彼女も幅広いジャンルの仕事を経験しているのが最大の強み。仕事で得た知識や経験は決して消えないのだ。
素人でもデザインができる時代になったが
圧倒的なクオリティの差を見せつけるのがプロの仕事。
本記事の執筆を終えて思うのは彼女の持つ多彩な表現力=引き出しの数が多いのだと思う。デザインは理論で作るものでは無い。自身で体得した知識や考え方がアイディアやカタチになるものである。そもそも、デザインと言う仕事は常に時間が足りないと言うところから始まる。それ故に力の無いデザイナーに限ってアレが足りないコレが欲しいと口舌が多いものだが彼女は何事も受け入れて自然体で仕事をしていた。しかしコレが一番難しい。当時血気盛んなボクが事務所を任されて何とか使命を遂行できたのは、彼女を含めた仲間の理解と協力があったからだ。だからボクも安心して仕事を任せられた。現在彼女はダンナさんと二人暮らしで、主婦、印刷会社に所属するデザイナー、またフリーのデザイナーとしても活動している。ただ一つだけ心配なのは健康面だ。彼女は昔から頑張りすぎるところがある。調子が悪いと感じたら決して無理をせず、今後もマイペースで仕事を続けて欲しい。そして今回の企画で改めて思った事がある。それはつくづくボクは幸せ者だと言う事だ。なぜなら本企画で紹介した2人を含めて、ボクが知り合った人は現在も活躍している才能豊かな人ばかりだからだ。同じ会社で共に働いた石原、大島と、2人の素晴らしい仲間と出会えた事には心から感謝をしている。今後も健康に留意して、無理をせず末長く活躍して欲しい事を願って本企画を結びたい。
(次回は予定を変更してお送りします)
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2020年10月6日FRIENDS CATALOGUE