グラフィックデザイナーのブログ
クルマのスタイルとデザイン。

2020年10月7日DESIGN STORY

クルマにとってデザインとは何だろう。

マニアと言うほどでは無いが、父親譲りのクルマ好きである。
そこで今まで自分が乗った車を題材にクルマのデザインについて考えてみたい。

クルマにとってのデザインとは何だろう。
恐らく殆どの人が購入の際に最も重要視する要素と言うかも知れない。
ボクは今世間で何かと悪口を言われた50系プリウスに乗っている。
この新プリウスを初めて見た時の率直な感想は「また変なデザインで出したなぁ」である。
フロントマスクマスクは目つきが悪いし、複雑なラインで構成された面はまるでポリゴンで作った出来の悪いゲームのキャラクターに感じたものだ。先代モデルの30系を大胆に変えた新プリウス。これついては3年前、トヨタの社長までもプリウスはカッコ悪いと発言している。オイオイそんなのアリ?親が一緒になって自分の子供をけなしてどうする!と思ったものだ。

しかしである。人間は環境に適応する動物で、最初は変だと思う事も次第に慣れてそう思わなくなる。あばたもえくぼ。かく言うボクもいつしかこのヘンテコなデザインが段々好きになり2年前の3月に即決で購入してしまった。そもそもクルマのデザインなど、実用的な数値を除けばいわゆる主観やフィーリングで評価される場合が殆どだ。主観だから好きな人がいれば嫌いな人もいて当たり前。

ボクがこのクルマを購入した一番の理由はハイブリッドカーだと言う事。二番目にその独特なデザインだ。プリウスは他に似たデザインのクルマが一切無い。この2つだけでもボクにとっては十分に買う価値があるクルマなのだ。そしてこのクルマはトヨタ初のTNGA搭載車。TNGAとは簡単に言うと、クルマの基本性能をレベルアップした新しいクルマ作りを目指すという思想らしい。デザインに限って言えば、何よりも他に似たクルマが一切無いこと。コレがプリウス最大の長所かもしれない。ボクのような他人と同じモノを買うのが大嫌いな変人には選んで当然なクルマなのだ。

クルマの様な耐久消費財となると、設計変更には莫大なコストがかかるので一度出してしまうとデザインと言えども簡単には変更できない。ところが後にプリウスのデザイン批判が高まり、販売数にも影響し始めた為かトヨタは昨年12月にマイナーチェンジを敢行している。
でもこのMCでも個人的にはそんなにデザインが大きく変わった印象は無い。そしてプリウスは現在、2019年上半期国産車登録台数の1位になっている。これをMCのせいと見るかクルマ本来の良さと見るかだがデザインの評価なんて所詮そんなものだ。

高いお金を出して購入するクルマ。一生のうちに何台も買えるものではない。他人の意見を参考にするのは自由だが、評論家やネットの意見を気にし過ぎて左右されるのはくだらない。
欲しいクルマを買うときくらいは素直に自分の気に入ったモノを買うべきだと思うのだが。

ボクのクルマ購入履歴

トヨタカローラセダン

1990年
トヨタカローラセダン(4代目)1500SEリミテッド ボクの評価60点

エンジン:5A-FE 1500DOHC16バルブ OD付き4速オートマティック
ボディカラー:スーパーホワイトll
初めて購入した中古のクルマ。ごく普通のセダンだったが、内装色がマルーンで、まるで昭和の喫茶店の様だった。何の面白みも無かったクルマ。スーパーホワイトllは大流行した白色で当時ハイソカーブームの火付け役だったソアラから瞬く間に他の車種に波及したカラーで光の当たり加減で薄い紫色に見える純白色である。

トヨタカリーナ ED

1993年
トヨタカリーナED(2代目)2000X ボクの評価65点

エンジン: 3S-FE 2000DOHC16バルブ
ロックアップ付き電子制御4速オートマティック
ボディカラー:ワインレッドマイカ 装着オプション: LEDストップランプ付きリアスポイラー ギアで2つのカムシャフトを駆動するハイメカツインカムエンジン搭載車。室内狭い天井低い視界悪い、乗り降りしづらいの4Kカーだったが、一度アクセル踏み込めば力強い加速感でそれなりに楽しめたクルマだった。仕事に旅行に大活躍した思い出深いクルマ。EDという名前も今の時代なら多分絶対付けられないだろう。

ダイハツムーブカスタム

2007年
ダイハツムーブカスタム(4代目)  RS TURBO ボクの評価70点

エンジン:KF-DET インタークーラー付き12バルブターボ+CVT
ボディカラー:ルージュレッドクリスタルメタリック(オプション)
初めての軽自動車。150万を超える価格だったが、デザイン良し、装備良し、走り良しで言う事無しのクルマ。

トヨタプリウス

2017年
プリウス(4代目)Aツーリングセレクション  ボクの評価80点

エンジン:  2ZR-FXE  1800DOHC+モーター  電気式CVT
ボディカラー:アティチュードブラックマイカ
外装オプション〜エアロパッケージ、サイドプロテクションモール、
ホイールアクセント(ブロンズ)内装オプション:室内快適セット(センターコンソールトレイ+ドライブイルミネーション)木目調インテリアパネル、ブラックシフトノブパネル、カーボン調ステアリングパネル

ドライブサポートイルミネーション
特徴あるリアランプ
カーボン調ステアリングパネル
ブラックシフトノブパネル
木目調インテリアパネル
リヤロアバンパーカバー
サイドプロテクションモール

初めてのハイブリッド車で3ナンバー。軽から乗り換えた最初の頃は車幅感覚に戸惑った。
奇抜なスタイリングで散々悪口を言われたプリウスだが、ボクはこのスタイルはそんなに悪くないと思っている。確かにとっつきにくいデザインではあるが、良くも悪くもコレがこのクルマのアイデンティティであり、それがプリウスの存在感を際立ったものしている事も事実だ。

ボディカラーは当初から赤にするつもりが妻の有難い一言「赤はイタズラされるよ」でブラックに変更した。ま、女性らしい意見ではある。でもこのアティチュードブラックマイカは中々良い色だ。黒の中にブルーのラメが入っているので光の加減でキラキラして大変美しい。

外装はとにかく見栄えを良くするためにオプションを徹底研究してドレスアップを試みた。
そもそも今のクルマはある程度外装オプションにお金を使わないとカッコ良くならない様に設計されている。コレはどんなクルマでもそうだ。要はそれを見極める事ができるかどうかだ。
それができれば、プリウスの様なクルマでもデザイナーの考えを理解して弱点を補正できる。
プリウスは白系のカラーだとボディが締まらない為にデザインの奇抜さが強調されてしまう。
ボディカラーを赤からブラックに選択し直したのにはそう言う意味もあるのだ。

これを出発点にボクのプリウスは純正のエアロパッケージをメインにドレスアップを試みた。
エアロパッケージは大正解。特にリヤのロアバンパーカバーは一番のお気に入りだ。
コレが無いとお尻がツルツルの締まらない後ろ姿になってしまう。街でノーマル車を見かけるとその差は一目瞭然だ。また内装で特に評判が悪かったのが白の加飾パーツだ。丸で便器の様だと酷評されていた。コレを解消するために室内快適セットと様々なインテリアパネルを装着した。デザインで最も難しいのがこう言うところで、デザイナーはセンスが良いと思い白色のコーディネートを採用したはずだ。ところがコレが真逆の評価でユーザーから酷評される結果となった。ボクが思うにプリウスのデザイン批判は、内外装ともデザイナーの思い入れが強すぎてユーザーとの間に大きなボタンの掛け違いが生じた結果だと思う。

2020年10月7日DESIGN STORY