LET IT BE 新バージョン完成。 タイトルは「GET BACK」 ウォルトディズニーの配給で 2020年9月4日全米公開。
2020年10月6日BEATLES
ビートルズ最後の映画
「レット・イット・ビー」の新バージョンが完成。
世界中のビートルズファンからすれば、遂に来たかと言う思いだ。以前のブログにも記したが、ボクは高2の頃、名古屋市公会堂で行われたビートルズのフィルムコンサートでこの映画を初めて見た。その時見た「レット・イット・ビー」のイメージは、ラストの屋上ライヴを除き、全編に渡り暗いスタジオでリハーサルを繰り返す重苦しい雰囲気。解散に向かうビートルズの哀愁感漂う映画だった。オリジナルバージョンの「レット・イット・ビー」は、公開後50年に渡り公式な映像商品が一切リリースされていない。実は1980年頃、ビデオソフトとレーザーディスクがリリースされたのだが、この時はビートルズ側からクレームが付き販売が差し止めされた。その後も世界中のファンからソフト化の要望が絶えず、何度か商品化の噂が挙がったのだが、複雑な権利関係の為にいずれも頓挫してしまった。従ってネットやオークションなどで入手可能な商品は全て非合法な海賊版である。ところが昨年、「レット・イット・ビー」で撮影した55時間を超える未公開映像と140時間のオーディオソースを使って、作品を再構築するプロジェクトが進行中である事がポール・マッカートニーから発表されて大きな反響を呼んだ。それがこの度完成して全米公開日が発表されたという訳だ。監督はロード・オブ ・ザ・リングのピーター・ジャクソン、メンバーだったポール・マッカートニー 、リンゴ・スターは勿論の事、ジョン・レノンの妻オノ・ヨーコとジョージ・ハリスンの妻、オリビア・ハリスンが全面協力している。監督とポールのコメントによれば、本作ではオリジナルバージョンから陰湿な部分を取り除き、4人で和気藹々と音楽を作っていく過程を目の当たりにするだろうと語っている。このコメントを耳にして、ビートルズファンは冷静でいられない。興味の的は数多いが、ファンの関心が一番高いのは映画のクライマックスはどうなるかだろう。オリジナルバージョンではルーフトップライヴだった。これは外せない。1969年1月30日のお昼頃、ロンドンのセヴィルロウにあるアップルビル屋上。大音響で突如始まったビートルズ最後のライヴ、通称ルーフトップコンサート。GET BACKでスタート。アンコールのGET BACKまで47分間のゲリラライヴ。撮影当時、ジョンとリンゴは29歳、ポールは27歳、ジョージ26歳である。外気温2度の中で撮影が行われた。声に張りがあり、髪を振り乱して歌う4人の姿は今見ても惚れ惚れしてしまう。アメリカで行われたビートルズのラストコンサート以来、3年ぶりの生演奏だが、ブランクを感じさせないタイトでノリノリの演奏を披露している。
当日はあまりの寒さの為、ジョンは毛皮のコートを羽織りリンゴは夫人の赤いジャケットを借りて着用している。演奏ではポールの右手の動きに釘付けになるだろう。驚異の高速ベースライン。ジョンは歌詞を忘れてスタッフが掲げるカンペを見ながら歌っているシーンもある。集まったロンドン市民達のコメントも好意的でビートルズ愛に溢れているのも嬉しい。ライヴの最後にジョンが語ったジョークまで、どこまでもビートルズらしいドキュメンタリー映画だが、既にジョンもジョージもこの世を去っている。また、ルーフトップコンサートでエレピを弾いているビリー・プレストンはゲストプレイヤーとしてジョージが招いたものだが、彼も2006年に59歳の若さで亡くなっている。結果的にこのライヴが、ビートルズ最後の生演奏になったのだ。これはノーカットで再現してくれるだろう。クリーンナップされた美しい映像で見られる50年前のビートルズ。16歳の自分が43年前に観た映画。現在59歳の自分が観たら何を感じるだろうか。実はボク自身もそれを一番楽しみにしている。本作はウォルトディズニーの配給で9月4日に全米で公開される。また、オリジナルバージョンのレストア版も後日公開予定だ。
今まで生きて来られて良かった。本作のリニューアルバージョンを見られる事は、人生のご褒美と勝手に解釈している。本作を映画館で観るなら、妻と一緒に東京池袋で「ブルーサンダー」を観て以来37年振りとなる。その時はポケットにハンカチを入れて出掛けるだろう。涙がこぼれ落ちても良いように。
☆ルーフトップコンサート/THE BEATLES(1969 1.30)
https://www.youtube.com/watch?v=JXjsM1zcH1g
「LET IT BE」の公開から50年が経過している。
映画に写るロンドン市民も同様に歳を重ねているはずだ。
当時50代の人は現在殆ど亡くなっているだろう。
ビートルズと同じ時代に生まれて良かった。
それを体験できたのだから。
2020年10月6日BEATLES