ごった煮の街
大須商店街に
行ってきた。 

2020年12月11日with コロナ

久しぶりに大須商店街を訪れた。前回訪れたのは昨年の12月中旬。正月用食材を買い求めに来て以来一年ぶりである。大須は名古屋の中心部からやや西に位置している街である。直近のターミナル駅は金山(かなやま)総合駅。金山総合駅は、『世界デザイン博覧会』開催を機に開業した駅で、JR東海道本線と中央西線、名古屋鉄道、名古屋市営地下鉄が集結している。

総合駅になる以前は、JR(当時は国鉄)は中央西線の金山駅としてのみ機能しており、東海道本線の駅は無かった。また名古屋鉄道の駅は、金山駅から数百メートル東にあり、JRとは乗り換え不可であった。名古屋市民や乗客にとっては、至極乗り換え不便な駅として嫌がられていた。その金山が総合駅となって以降、名古屋駅に次ぐ規模のターミナル駅として機能を始めたのである。この駅が開業した意義は極めて大きい。JRと名鉄、市営地下鉄が一体になり、利用客が大幅に増加。名鉄は、神宮前駅から北側の地域は複々線化されてスピードアップを実現した。これに伴い、マンション建設が一気に増えた感もある。

また近い将来、南北400m、地上30階ほどの、名鉄と近鉄が一体化した新駅ビル建設構想もある。コロナ禍で着工が遅延するようではあるが、これは仕方なかろう。ところで、皆さんはご存知であろうか。この金山駅に、近鉄特急が乗り入れる計画があった事を。名古屋といえば、縄張り意識が強い地元企業の名鉄がある。どう考えてもすんなり行くわけが無い。やはり実現されずに消えた幻の計画である。また余談ではあるが、現在の名鉄名古屋駅と近鉄名古屋駅は、壁一枚で隣接した構造である。今回の新駅構想は必ず実現していただきたい。

☆レストスペースに配置されたクリスマスツリー。

名古屋市民にとっての大須は、様々なイメージがある不思議な街である。東京秋葉原の電気街をイメージする人もいれば、食べ歩きの街を思い浮かべる人もいる。私はいずれでもないごった煮のような街のイメージを持っている。所謂カオスタウンである。ここから北に少し歩けば繁華街の矢場町と栄。東南に移動すれば金山、西には名古屋駅。名古屋のいいところを周囲に散りばめた様な街と感じている。今回は、大須を訪れたことがない方の為に、画像を中心にした記事をご覧いただきたい。画像撮影は仕事仲間のケロヨンF谷である。

残念ながら、現在もコロナ禍の為、公共交通機関は避けてクルマで訪れた。自宅から約40分の距離にある若宮パーキングに駐車した。この駐車場は、所謂100メートル道路と呼ばれている二本の道路のうちの一本、若宮大通り沿いの地下駐車場である。今日訪れる所は以下の順である。若宮パーク→大須観音→激安スーパーサノヤ→万松寺→松坂屋名古屋店

若宮パーキングから南側を望む。名古屋パルコ、松坂屋南館と続く

☆正面のビルに描かれた豚のイラストは名古屋の新名所となった串かつの矢場とん本店
☆大須観音にて。階段上に立っているのは私。

大須商店街は、若宮パーキングから徒歩で数分の距離である。
まずは大須観音まで移動した。コロナ禍で感染者が激増した為、また平日の11時ということもあり人影はまばら。通常なら土休日は大勢の参拝客や観光客が押し寄せる場所である。この付近は、昔ながらの小規模飲食店や土産物を扱う店が多いのが特徴である。市営地下鉄の最寄駅は鶴舞線(つるまいせん)の大須観音である。伊藤みどりをはじめに、浅田真央や安藤美姫など、多数の世界的フィギュアスケート選手を輩出した大須スケートリンクもこの付近に存在している。

続いて訪れたのは激安スーパーのサノヤ。この店一番の特長は安価な事であろう。店内はいつ訪れても超満員。今回のお目当てはお肉と250円弁当である。サノヤは名古屋市内の小規模スーパーの中でも、一貫した攻めの姿勢で生き抜いてきた企業である。過去の長い不況の中を、敢えてチャレンジした250円弁当は大ヒット商品となり、店の経営を支え続けてきた。正に小規模スーパーのお手本となるお店である。250円弁当は数種類あるが、私のお気に入りは肉じゃが弁当である。最近は野菜の価格高騰の為か、ラインナップから消えたままであった。ところが本日運良く販売されていた。即お買い上げである。素朴な味付けの大きなじゃがいもがゴロゴロ入っていてとても美味しい。この他には、生姜焼き、ハンバーグ、サバ、酢鶏、チキンカツ、カツカレーなど多種多彩なラインナップである。私は肉じゃが弁当2コ、串カツ1パック(小ぶりだが10本で399円)を購入。精肉売り場で牛肉のパック品数点を購入した。

☆万松寺正面口
☆唐揚げとタピオカを販売する店が多い。

続いて訪れた場所は万松寺(ばんしょうじ)商店街。
正式には亀獄林萬松寺である。名古屋の歴史的名所ではあるが、近年は鉄筋コンクリート造りのビルと化し、異彩を放っている。この地区も近年は大きく変化した。1990年代は、パソコンとテレビゲームの隆盛により、大須のアメ横と呼ばれ数々の電器店が存在していた。仕事柄、度々訪れた事があるが、その後はパソコンブームも去り、パソコンとテレビゲーム関連の店は殆どが撤退した。今は一部の電器店が残るのみである。変わって台頭してきたのがパチンコ店と食べ歩きの小規模店である。また、若い女性に大人気の雑貨店水曜日のアリスなども存在している。この地域も新宿や秋葉原と同様に、日々変わりゆく街である。

☆水曜日のアリス店舗外観
 どこが入り口か分からず迷う人も多い。

 

☆水曜日のアリス店内 コスメに食品、多数の雑貨
 見るとおじさんでも欲しくなる!?

最後に訪れた場所は松坂屋名古屋店。私の幼少期は、市電が走っていた大津通り側が正面扱いの本館だけであったが、現在は南側の久屋大通側が正面扱い。北館、本館、南館の3棟横並びとなっている。2014年に開店した近鉄百貨店『あべのハルカス』の完成までは、床面積日本一を誇っていた老舗のデパートである。松坂屋を訪れた目的は、期間限定でオープンしているお布施堂の朱雀モンブランを購入する為である。朱雀モンブランは通常サイズの約2倍。二人でシェアできる大きさである。開店以来大人気らしく、これは食べなければの思いで買い求めた。価格は1コ1,780円。少々高めではあるが、他のショップでも、ケーキ1カット1,000円弱が当たり前の時代である。これが高いか安いかは実食してみないと判断できない。私と仕事仲間の分、お世話になった知人に贈る分、計3コを買い求めた。帰宅して、夕食後のデザートとして頂いた。タルトをベースに、カスタードクリームと生クリーム、スポンジの中にはマロンクリームとモンブランペースト。至れり尽くせりの栗尽くしスイーツ。甘さ控えめの奥深い味わいであった。これなら納得できる価格である。年末の自身へのご褒美も当確である。機会があれば、ぜひ味わっていただきたい。
苦難と我慢の時だが、スイーツは、少しだけ心を豊かにしてくれる。

晴天の中を久しぶりの外出。出かける前は外食を考えていたのだが、感染者激増に不安を抱き、急遽取りやめた。今までは当たり前の事が、容易にできなくなってきている。戸惑いと共にストレスも募り、コミュニケーションも滞りがち。ひいては自宅に篭るのが当たり前の生活になってしまうのも避けたい。本来なら心踊るクリスマスシーズンである。この歳になり、もはや関係ないとは思っていたが、こんなご時世になると、逆に感慨深くなる。父の生前、家族が集う幸せな時代を思い出す。知人から頂いた紅茶のパッケージは、クリスマスの温かみが感じられるデザイン。人が恋しくなってくる。

2020年12月11日with コロナ